時を渡って海音を聴く 〜“時渡”編〜 【鬼滅の刃】

自棄 ページ14

『隠』とは。

鬼との戦闘後、主にその事後処理をする部隊の事である。
他にも私が受けたような、人や物の運搬等も仕事の内らしい。

この隠に就いてみないかと提案された私は、その仕事内容も聞かずに頭を下げた。
そう慌てるものではないよと再びクスクス笑われてしまったので、やはり私ははしたないのだと感じる。

この人の前だと、自分の一挙一動に自信が持てなくなるのは不思議だ。私の脳はきっと、御館様を慈愛の神か何かだと認識しているせいだ。

もしくは聖母。

そうこうして隠の説明を受け、その上で再度頭を下げた。柱という、隊士の中で最高位に位置する人達の屋敷の世話に就くことも出来るらしい。そちらの方がAさんにとっては良いのではないかと提案して下さったけど、私はより過酷な仕事をしてみたかった。だから、丁寧にお断りした。

勿論任務の危険性についても説明された。隊士が切り損ねた時などに、襲撃される可能性もあると。人の死体を処理する事、その死体の損壊具合が酷い状態なのはざらにある事。

それを説明されても、自分の意思は変わらなかった。それには、錆兎くん達の存在があった。

私と変わらない年頃の子供が、大人さえ瞬時に殺してしまうような存在に立ち向かっている。

私には理解できなかった。だって、決まったルーティンで毎日を過ごしていたから。

勿論部活には本気で取り組んだ。努力したら、大会常連校になれた。勉強は苦手だったけど、行きたい高校が見つかった。だから頑張れた。真剣になれた。

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