(過去編)彼女に救われた者たち ページ3
.番外編みたいな？
2年生の冬だった。
家入硝子は立て続けにやってくる急患の治癒のため、7日ろくに寝ていなかった。
タバコは切れてしまい買いに行く余裕もない。
鏡を見ればひどい隈を作った顔色の悪い自分が映る。
家「はは、ひでー顔」
自嘲的に笑うが、まだ彼女も高校2年生。自覚せずともとっくに限界は越えていた。
自室の床に座った彼女はしばらく一点を見つめて人形のようになっていた。
このあとも前日に診た術師の再診がある。
行こうか、と思い腰を上げた時だった。
『しょーこー？Aです。開けるね？』
ガチャ、とドアノブが回され入ってきたのは同期の藍染A。
家「ん？どうした？怪我か？」
『ううん〜違う！硝子にプレゼントがありまして…じゃん！』
そういって彼女が袋から取り出したものは…タバコ
家入は拍子抜けしてしまった。わざわざ？
『ってのは冗談で！まぁこれもあげるけど、、』
「ほいっ」と言って彼女は大きく腕を広げた。
『これからまた診察でしょ？その前に充電していきませんかい？』
家「…は、充電、って…」
『アレッ、違った？たしかぎゅーって癒しの効果があるんだよ？ほらほら、おいで』
ニコニコと笑う彼女を見て、家入は思わず吹き出してしまった。そしてふらふら歩きながらAの腕の中に入った。
『ふふふ、硝子いつも頑張ってるからAちゃんがおまじないをかけてあげよう』
家入は茶化すような彼女の口ぶりに「硝子ちゃんがもっと頑張れますように」とかだろうか？と思っていた。
『…補助結界、鼓舞』
いきなりぶわっと体が暖かくなるのを感じた家入はAから離れ、驚い顔を向けた。
すごく体が軽い。心もなんだか明るい。よく見ると薄くだが、全身にAの結界が張られていた。運動選手でいう、テーピングのようなものだろうか。
家「へぇ、こんなのも出来るんだ」
『へへ、練習した！反転術式には影響ないよ！！ぅわっﾌﾟ…硝子お疲れ様、これしか出来なくてごめんね』
今度はAを抱きしめ返した家入。ぎゅーっと強く抱きしめた後、しっかりとAの手からタバコを抜き取った。
家「ありがとう、行ってくるよ」
タバコをくわえながら家入は笑った。
『わ、いつの間に！タバコはほどほどにね！』
家入はヒラヒラと手を振って「あと3日は頑張れそうだな」と思いながら診察室のドアを開いた。
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ナミ - コメント失礼します。すごく面白いです！夢主ちゃん可愛すぎます！更新頑張ってください(^^) (2023年3月29日 10時) (
レス) @page5 id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 一言でいうと最高です。大好きです。 (2023年1月24日 21時) (レス) @page5 id: 64fcbccf7d (このIDを非表示/違反報告)
紡木かなえ(プロフ) - なつさん» ありがとうございます！私の作品欄から見つからなければ、もしかしたらフィルターがかかっているかもしれません！ブラウザ版からログインして設定を確認してみてください！！早く更新できるよう頑張ります！ (2022年4月4日 23時) (レス) id: 4fb629dc44 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - 初コメ失礼します！前編から見ていたのですが、続編だということでめちゃくちゃ楽しみにしていました！ところで質問なのですが、前編のスピンオフ作品見たいのですが、どこにも作品があらず。。。どうすれば見れるのでしょうか、？ (2022年3月28日 0時) (レス) id: f8c41f4d35 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - 続編おめでとうございます！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page5 id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紡木かなえ | 作成日時：2022年3月11日 23時
