33話 ページ35
またさらに強い力で握られて 困り果ててしまった。
審神者の後ろの刀剣達もオロオロしているが
止めようとはしない。
その時、「おい、何してる」
グイッと肩を強い力で引かれた。
そして無理矢理 審神者と私の手が振りほどかれた。
「鶴丸さん」
今度は間違いなく自分と同じ本丸の鶴丸だ。
鶴丸さんは審神者を一瞥して
「行くぞ」
と、私の手を引いた。
「えっ、ちょっと!」
と、後ろから声がするが歩く速さを緩めなかった。
「あの、鶴丸さん。 」
あの状況から助けてくれたのはいいが
歩くペースが早すぎる、転ばないのが精一杯だ。
「あの! 鶴丸さん!」
と、声を上げてその場に踏み止まった。
「なんだ」
と、彼が振り向く。
「あの、買い物は‥」
「もう、終わったぜ。君が媚を売っているあいだにな」
「なっ‥」
発せられた冷たい一言に言葉を失った。
「買い物1つもまともに出来ないのか。思えば、出陣でも足を引っ張り、料理も出来ないなんて救いようがないな」
なげかけられる言葉に
とてつもない胸の苦しみを感じ
目頭が熱くなった。
このままでは涙が出てしまいそうで絶対に彼には見られたくなくて、 勢いよく掴まれている手を振りほどいた。
「なんだ、さっきもこのくらいの力で振り払えば‥」
パシン
乾いた音がその場に響く。
道のど真ん中にいた為、道行く人の視線が注目していた。
下を向いて視線を合わせず
「‥‥ 帰り道は分かるので先に行ってて下さい」
とだけ告げて踵を返し駆け出したため
頬を叩かれた鶴丸さんがどんな顔をしていたのかは分からなかった。
人混みの中上手くすり抜けて
無我夢中で走った。
無理、無理、もう無理だ。 彼とは絶対にやっていけない。最初からそんな気はしてたが、もう限界だった。
私にも問題があったのは分かってる。
でも、それでも、 彼等は初めから私を拒絶してたじゃないか!
「やっぱり、君浮いていないか?」
その言葉が頭の中を回り続ける。
人の体を得て初めての涙は 途轍もなく苦しかった。
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杏子メロンパン(プロフ) - ありがとうございます。そう言って貰えてとても嬉しいです。 (2019年6月22日 19時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
永遠の0 - やべぇ・・・・・・やべぇ←私の好みにドンピシャだぜぇ・・・・・!(*´∇`*)更新ファイト!(*≧∀≦*) (2019年6月22日 18時) (レス) id: bc7da5b929 (このIDを非表示/違反報告)
アズマ - この物語の少しシリアスな感じが好きです!これから影ながら応援させていただきます! (2019年6月22日 15時) (レス) id: 13ba803884 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - そらまるさん» コメントありがとうございます。励みになります。 (2019年6月22日 5時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
そらまる(プロフ) - 面白いです(^^)更新楽しみにしています(^^) (2019年6月22日 1時) (レス) id: 01606349cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月20日 18時