30話 ページ30
私が頭を抱えていると突然目の前から笑い声が聞こえてくる。
えっと顔を上げると一期さんが口を手で押さえて笑っていた。
はっきり言って狂っているとしか思えない。
「どうやら今のが貴女の本性の様ですね。
こうなると、貴女が鶴丸殿に色仕掛けをしたという考えにも納得がいく。」
「は!?色仕掛け?」
思わず声を上げそうになって慌てて口を押さえる。外に漏れたら大変だ。
「貴女を差し出すと一部の方々が言った時の彼の怒り様は凄まじかったので、」
「私はそんなのしていません」
これは随分と酷い言いがかりだ。きっぱりと否定させてもらう。
「おや、そうでしたか。」
無自覚でしたか、と呟く彼に私は首を傾げた。
言っておくが、刀剣達にハニートラップを仕掛けようと考えた事など一度もない。
完全なる妄想だ。やめてほしい。
「貴女に気づかれた以上、私がここにいては貴女は落ち着かないでしょう。
お暇させて頂きます。」
そう言って立ち上がる彼を私は蹴飛ばしてやりたくなるがなんとか耐えた。
帰り際に一期さんは 言い忘れておりました
と、振り返る。
私はぐったりとした表情を向けた。
「貴女の考えは正しいですよ。審神者と我々の関係など脆いどころの話ではございません。」
パタンと襖を閉められる。
去っていく足音を聞いて私は漸く大きくため息を吐くことが出来た。
予想以上に彼との会話は身体的にも精神的にも疲れてしまった。
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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時