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21話 ページ21

彼の行動に驚いて涙が引っ込む。
優しく触れられて少しくすぐったくて
つい目を細めてしまった。

しかし、涙を拭おうと伸ばしてくれる腕に
痛々しい傷があることに気づいてハッと我に返る。

「包帯!巻き直さないと!」
「… あぁ」

袖をまくり 包帯をとって彼の細い腕を手に取る。
触れた手に鶴丸さんの体温を感じた。
刀剣といっても人の身体を得た今は
生きている人間と何にも変わらない。
彼の腕に残る傷は赤黒く変色し、目を背けたくなるほどだった。

「…刀剣は手入れでしか治らないのに。
それなのに、こんな…」
「…… 」
「そもそもどうしてここに来るんですか。私は審神者じゃないので包帯を巻くくらいしか出来ませんよ。」

私の言葉に鶴丸さんは目を見開いた。
ビクリと腕が動いたのに気づいて私は
どうしたのか?と、視線を向ける。

「……」
「鶴丸さん?」

なんだろう、心なしか鶴丸さんの顔が赤い気がする。

「…確かに、そうだよな。 すまん。無意識のうちに此処に向かっていた。」
「えっ…。べ、別に鶴丸さんが謝る必要は無いですよ。
ただ、私は何にも役に立てませんし…」

女好きである審神者に私を差し出せば少しは楽になるかもしれないのに、初めから彼等はそれをしなかった。
それどころか、バレたら酷い事をされるのが分かっているのに、危険を冒してまで私を
隠すという考えに至った。
それが、どうも不思議で仕方がない。

何にも役に立たないと言った私に
鶴丸さんはそれは違う!と声を上げた。

「俺は君に救われた。
折れたいとまで思っていたのに、負けたくないという感情が芽生えたんだ。」
「えっ…」
「皆もなんとか頑張ってる。 」
「………」
「君のおかげだ。ありがとう。」

彼等を欺き、信頼を得るために接してきた私にはその言葉は鈍器となって身体を殴る。
私にかけていい言葉じゃない。
このままだと決心が揺らぎそうで、必死に心を奮い立たせた。

私は震える手でなんとか
包帯を巻き終えて鶴丸さんの腕から手を離す。
目を合わせられず申し訳なさそうに下を向いていた。
すると、ポスッという具合に肩に何か少し重たいものがのしかかる。


「え、」
「…驚いた。 君はあったかいんだな」

そう、肩に乗ったのは鶴丸さんの頭だったのだ。

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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時

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