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19話 ページ19

審神者を盗聴し始めて数日、何度か屋根裏から夜な夜な痛みで泣いている子やそれを慰める子の様子などを見ていた。

ある日、相変わらず 押入れで大人しくしていると、やけに外が騒がしく ドタドタと足音が聞こえた。鈴が少し前に鳴っていたからおそらく帰還したのだろう。
外に出る訳にもいかない為 なんとか事情を知れないかと イヤホンを耳につけた。

すると、審神者部屋から審神者以外の声が聞こえた。


「どうか! 手入れをお願いします」

この声は一期さんだ。間違いない。

「ちょっと待て、今は札がない」
「それはっ! 貴方が鍛刀を…」
「当たり前だろ、俺は審神者だ」

まぁ、なんとも胸糞悪い会話が聞こえてきた。
出陣で重傷者が出たのだろう。おそらく短刀の誰か。必死に願い出ているが審神者が応じる気配がない。
手伝い札が無ければ審神者は刀剣が治るまでずっと手入れをしなければいけない。
しかし、審神者はそれが嫌らしい。

暗い気持ちでしばらく会話を聞いていると
襖がスッと開いた。
私はバッとイヤホンを外し慌てて懐にしまい込む。

「……君、いるかい?」
外からなんとも弱々しい声が聞こえて、
私は戸を開けて顔を出した。
そこには血まみれの鶴丸さんが立っていた。

「ちょ、大丈夫なんですか!?」
私は慌てて飛び降りて、持っていたハンカチを出して彼の顔についていた血を拭った。
流石に驚いた。
改めてみると本当に酷い怪我だ。
巻かれた包帯は血で滲んでいるし
とれかかっているものもある。

「とにかく、ここに座ってください」
私は鶴丸さんをその場に座らせた。

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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時

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