10話 ページ10
毎日行えば 少しずつだが、練度も微かに上がってくる。
汗を拭いながら、ふぅ‥と息を吐くと
様子を見にきてくれたらしい、乱さんが稽古場に顔を覗かせた。
「ねぇ、本当に大丈夫? 僕、近頃のAさん見てると不安になってくるよ」
そう言って、側へと駆け寄ってくる。
気遣うような言葉に 私は笑顔を向けて答えた。
「大丈夫だよ。最近は調子が良いんだ。」
「でも、鶴丸さんから霊力 貰ってないんでしょ?」
「えっ‥‥! ‥まぁ、うん、」
そりゃあ、あんなに啖呵切ってしまったし。
あの後、霊力下さいなんて、そんなこと 言えるわけもない。
「喧嘩したなら早く仲直‥」
「してないよ。」
乱さんが全て言い切る前に 察した私は
言葉を敢えて遮った。
少しだけ、困惑した顔を見せる乱さんに
私は大丈夫 と 繰り返す。
「喧嘩はしてないよ。それに、本当に調子が良いの。 霊力だって 貰わなくて済むなら
それに越したことはないよね。迷惑かけるのも申し訳ないし。」
と、自分で口に出しながらも、現実は正反対で、私は半ば暗示をかけているようだった。
少しの渇きなら 身体に痛みを与えれば紛らわすことはできる。自身の刃で刺すのは凄く痛いが、背に腹は変えられない。
今のところ激しい渇きは無いものの、そろそろ限界がくるのは分かりきっていて、
でも、 不器用な所為で 鶴丸さんに
声はかけられなかった。
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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時