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9話 ページ9

と、まぁ、言ってみたものの一筋縄でいくわけはなく、「いつ倒れるかも分からない刀を戦に出せるわせないでしょ」の一点張りで惨敗に終わってしまった。
だが、そんなのは想定内で、寧ろ 私が戦に出たいと思っていることを伝えられただけでも
良しとしよう。
今すぐじゃなくても いつかは 許可はおりるかもしれない。
そう思って、少しでも今出来ることをしようと、今まで身体を理由に控えていた稽古場へと足を踏み入れることにした。
まずは素振りから。何度も何度も 内番等の作業を終えて 空いてる時間はずっと。


‥‥初めは止めてくる刀もいた。
でも、一番驚いたのは 真っ先に声をかけてきたのが 鶴丸さんだったことだった。

「なぁ、君は何を考えているんだ。」

稽古場へ向かおうと廊下を歩いていた時、背後から聞こえてきた 不機嫌な声に私はビクッと肩を揺らす。でも、振り返ることはせず、ぎゅっと拳を強く握りしめた。

「‥何って、何ですか。」
「出陣したいだとか、君、自分の身体のこと分かっているのか?」
「分かってます。」
「分かってない、 もし 倒れたらどうするつもりだ。」
「それでも‼ 変わりたいんです‼ 刀として戦に貢献したい。 こんなんじゃ、私は‥」

ー此処にいる意味がないー
その最後の言葉は 掠れてしまい、声にはなっていなかった。
鶴丸さんに聞こえていたかは分からない。

次の瞬間、 ガンっと鶴丸さんが壁を殴る音がその場に響き、私は 驚きと恐怖が相まって 振り返れなかった。

少しの間沈黙が続いた後 鶴丸さんは、
はぁ‥と大きく息を吐き、
「‥‥なら、もう勝手にしろ」
と、言い捨てて 踵を返した。

足音が遠くなっていくのを感じながら、
力んでいた肩の力を抜いて 私は彼と反対方向の道へ視線を向ける。


‥勝手にしろ と、言われた。
見限られたのかもしれない。
その事実がズキズキと心に刺さる。

でも、今、ここで引いたら 私は頼りきりのまま、前と何にも変わらない。
それだけは嫌だ。
だから、私は振り返らず前に進むことにしたのだ。

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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

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