28話 ページ28
「ようやく素直になりましたな。」
二人が去った後ものんびりと茶を飲んでいた三日月の手元に影がかかる。
「一期か」
「一芝居行った甲斐があるというものです。」
一期に関して言えばかき回しただけのように思うが、彼女の身体が限界だったのは事実、
結果良ければ全て良し、
ということで何も言わないでおく。
「浅ましいなんてよく言えたものです。あれだけ縛っておいて」
「そうだな」
他の本丸の彼女と話すのは
同位体である自分の本丸の彼女のことが知りたかったから。
あの刀は変なところで性格が捻じ曲がっているせいで、本命には呆れるくらいに素っ気ない態度しかとれないのだ。
そのくせ、拒絶されたら、変に募らせて
言動とは裏腹に彼女を求めて、彼女の
身体に異変まで引き起こすのだから、
どうしようもない仲間である。
今頃、自分が与えた霊力は完全に塗り替えられているだろうと一期は死んだ魚の様な目で遠くを見つめていた。
「問題は政府ですね。」
「主にその気はない。鶴も離さん。
五月蝿い 狐は‥‥そうだな、斬るか」
「‥物騒な事を言わんで下さい。貴方が言うと冗談に聞こえません。
鶴丸殿にあれだけ脅されていたのですから、それに関しては大丈夫でしょう。」
「そうだな」
三日月は相槌をうって、自身の手をふと見つめた。
「冗談のつもりだったが、俺も人になったものだ。狐は斬れてもAは斬れん。」
「‥‥それは皆同じですよ。彼女にどれだけ感謝しているか。
知らぬは本人ばかり と、言うやつですな。」
死にたがっていたがそれはもう諦めた方が良いだろう。鶴は一途だ。
ましてや本丸の全刀剣の望み。
皆が彼女が鶴と結ばれることを望んだ。
これは一種の罠だとも思う。
彼女を本丸に縛り付ける罠。
夕餉、誰かが呟いた。
「あれ？このお味噌汁、いつもの違う気がします。美味しいけど‥何かが足りないような‥」
「あぁ、今日は彼女、体調が悪いみたいでね。休んでもらったんだ。
けど、やっぱり何かが足りない感じするよね。同じ材料を使ってるんだけどなぁ‥。」
出陣後にお疲れ様とかかる声も、飯時の彼女にしか出せない味も、丁寧に畳まれた羽織とそこから香る太陽の匂いも、
もう全てが手放しがたい。
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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (
レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです！ (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れさまでした…！そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです！！毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります！次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏子メロンパン | 作成日時：2019年10月6日 15時
