26話 ページ26
「ん"ーーぅ！！」
霊力を与えられない口付けなんて初めてだ。息を出来ないくらい深く重ねられて、苦しくて視界が揺らいでくる。
目の縁に涙がたまるのを感じながらも、離れようと身をよじるが、容易く手首を掴まれて上半身ごと床に押し付けられたら、もう何も出来なかった。
ゆっくりと離された唇に銀の糸が伝う。
なんで、と疑問を口にしようとするが、声にはならない。
不機嫌な彼の口から一体、どんな厳しい言葉が出るのだろうと、身構える中、口火は切られた。
「君が命を捨てるなら俺が貰う。」
「‥‥ぇ」
「霊力だって、いくらでもやる。折らせてなんてやらない。」
「な、に言って‥」
ちょ、っと待って欲しい。
心臓が破裂するんじゃないかと不安になるくらい、バクバクと音を立てる。でも、一方で冷めていく自分もいた。
ー折らせてやらないー
なんて残酷な言葉だ。
どこまで私に惨めな思いをさせたら気がすむんだろう。
「‥鶴丸さんは‥どうして‥いつも私に霊力をくれたんですか？
‥やっぱり、他所の本丸の私が理由ですか？」
「は？ 何言って‥」
「好きですよね。
‥一期さんが言ってました。鶴丸さんが他の刀が私に触れることを嫌がるのだと‥。
それは、同じ容姿だからですか？」
「なっ‼ ‥‥くそ、一期のやつ‥」
視線を逸らしてガシガシと鶴丸さんは頭をかいた。その際に腕の拘束が解ける。
心なしか顔が赤くて照れているのが分かり、やっぱりそれが理由なのかとしみじみ感じた。
でも、私は もう別の私と重ねられたくない。
「私、知ってました。
倉庫に何振りか��私"がいること。不安定な私を選ぶ理由なんてない。偶々、私が先にこの本丸に来た、ただ それだけ。」
「‼ち、がう。ちょっと待ってくれ、俺の話を‥」
私はもういいのだ と、フルフルと首を振った。
目元が熱くなり、温かいものが伝う。
嗚咽を漏らしながらも必死に言葉を紡いでいった。
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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (
レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです！ (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れさまでした…！そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！！作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです！！毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります！次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏子メロンパン | 作成日時：2019年10月6日 15時
