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25話 ページ25

ふわり 鼻腔を擽る知った香りに包まれて、目を見開く。

「え、は?」

素っ頓狂な声が自分の口から溢れるが、すぐに我に帰り、何よりも三日月さんの前で抱きしめられたという事実が恥ずかしくて、咄嗟に離れようとするもののびくともしなかった。

「鶴、 Aが苦しそうだぞ」
と、少し呆れたような声が飛ぶが、
私を抱きしめる刀はギロリと相手を睨みつけ、ぎゅうぅっ と腕に更に力を込める。

私は「‥く、苦しい」と、掠れた声を漏らすが、それがまたどう勘違いされたのか、
鶴丸さんは 小さく舌打ちをかまして、私の腕を力一杯に引いて その場から歩き出した。

話はまだ途中だった私は
「は。話が‥」と、後ろを振り返って踏み止まろうとするものの、痛いくらいに握られた手を更に引かれて、つんのめりそうになった。

彼の部屋まで 半ば引き摺られるように連れていかれ、無理やり押し込まれ、背後でスパンと障子が閉まる。

心臓はポンプのように音を立て、握られた所は熱くて、少しだけ視線を上げて、
「‥‥鶴丸さん」と力無く名を呼ぶと、
どん と、肩を押され畳の上へと勢いよく
押し倒された。

「‼いっっ‥‥」
尻餅をついて、 痛みに声を上げようとすると、目の前に不機嫌丸出しの顔が迫り、
私はごくりと固唾を飲む。

お、怒ってる。とんでもなく怒ってる。

先程と同様、瞳から殺意さえ感じた。
訳が分からなくて、怖くて、目を伏せようとした瞬間、顎を掴まれ無理矢理視線を合わされて
とうとう涙目になる。

「な、なんで‥」
「本当、ふざけるなよ」

その瞬間、後頭部に手が回り、引き寄せられて、
がぶりと唇を塞がれた。

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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

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