22話 ページ22
変わりたいと願ったけれど、それすらも、もうよく分からなくなってしまった。
多少は強くはなれたのかもしれない。
でも、元々、誰かに頼らなければ身体を保てない私が 何かをしたところで、 たかが知れていたのだ。そして、その私が辛うじて出来ることは他の人達には当たり前として備わっている。
どうしてこんな身体になったのか。
どうして鍛刀時に霊力トラブルが起きたのか。
そんなことを今更嘆いても仕方がない。
だから、覚悟を決めていたのに、数日経っても主様から呼ばれることはなかった。
本丸の為を考えれば答えは1つ。
こんのすけのあの様子ではそう簡単に引き下がるとは思えないのに、廊下ですれ違っても何にも言われない。寧ろ、少しだけ こんのすけには怯えられた気がした。
皆も特に変わった様子はない。
初めは、まぁ‥私一振りがいなくなったところでそんなものかと、少しだけ寂しく思ったが、まるで何にも無かったかのように接してきて、流石に違和感を感じていた。
ーーーーーーーー
掃除を一通り終えて、廊下を歩いていると、前方に茶を飲む三日月宗近の姿が見えた。
なんとなく、以前会話を聞いてしまった事もあり、一瞬硬直してしまう。
ハッとして、慌てて通り過ぎようとした瞬間、
「俺が斬るか?」
と、声がかかった。
「え」
ピタリと足が止まる。
まるで 今日はいい天気だなぁ‥とか、このお菓子は美味いなぁ‥みたいな、のほほんとした声色で衝撃的な事を言われたはずなのに、頭に入ってこなかった。
視線を向ければ、穏やかな笑顔がそこにあり、斬るか?なんて物騒な言葉を吐いた本人とは思えない。
「主も鶴も‥いや、ここにいる者たちは皆、
其方を斬れんだろう」
私は驚いて目を見張るが、三日月宗近の表情が変わることはなかった。
ははは、と笑う姿に背中に冷たい汗が流れる。
この刀は恐ろしい。 刀剣の私ですらそう思うのだから、審神者といっても人の子、主様だったら尚更のことだろう。
冗談かそれとも本気か
何人もの人々を魅了してきたこの刀の考えなど到底理解出来るわけはない。
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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時