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1話 ページ1

ぽちゃん と、木の葉にのった水の雫が
地面へと落ちる。
雨上がり、空気中の水滴によって太陽の光が
分散し、鮮やかな色を青い空に描いていた。
そんな どこか清々しい空気が流れる本丸に
ガタン と、物音が響く。

「はぁ、っ、あっ、あぁ‥!」

胸が苦しい、身体が熱く裂けてしまいそう。
前屈みになって 必死で熱を飛ばそうとするが、意味はなく、終いには頭が痛みはじめ
視界が揺らいだ。
そんな私の様子に気づいた
乱藤四郎は バッと駆け寄り、背中をさすってくれる。
そして、大きな声を上げた。

「誰かーー!!!鶴丸さんを呼んで!!!」

途端に聞こえてくるバタバタという足音。
あぁ、本当に申し訳ない。
また迷惑をかけてしまう。
でも、辛くて、辛くてたまらない。

乱さんが肩を支えてくれるが、私が呼吸が荒くなるばかりだった。
しかし、あるところで それはピタリと止まる。

ーーー来てくれた。


まるで飢えた人間のように 求めずにはいられない。近くに、すぐ近くに彼がいる。
よろよろと震える足で そちらの方向へと振り返る。

「鶴丸さん、連れてきたよ!!」

強く感じる彼の霊力。
みっともないのは分かってる。
でも、今は その霊力を身体に入れたくて、
手を伸ばして すがりついた。

彼の細く大きな手が頭に回されて
私の顔を上げる。
涙で視界が潤み、彼の琥珀色の瞳が揺れているように見えた。

「っ、‥おっ、おねがい‥‥。
れ、い、ょく が、ほしっ‥」
「欲しいなら自分から来い」
「っ‥‥!」

自分からなんて 抵抗はある。でも、これは私の問題であり、彼には何のメリットもない事だ。
私は本能に赴くまま、彼の首へ
手を回して、唇を押し付けた、
少し開いた隙間から舌を差し込んで、霊力を少しでも取り入れようと必死で貪る。
喉へと流れ、 余すことなくゴクリゴクリと飲み干していった。
「ん、んぅ‥‥ん、」
「ん‥‥」

鶴丸さんが抵抗する気色はない。でも、私を見つめる瞳は相変わらず冷たくて。
なんて、耐え性のない。 と、言われてる気がして、せめて見えないように 目を閉じた。

2話→



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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

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