今夜の雨は君の涙【逆先夏目】 (ページ20)

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用事のひと段落がつき、隠れ家に戻る。

いつもなら点いている灯が今日はついていなかった。

夏目(寝ている…のかナ？)

静かに扉を開けて中を覗いてみる。

人の気配がしない程静かで暗い。

夏目「…Aちゃン？」

ｶﾀｯと音がした。おそらくAちゃん。

夏目「電気をつけないでどうしたんだイ？」

話しかけながら電気をつけようと手を伸ばす。

ｶﾞｼｯ…

不意に手をつかまれ驚く。

夏目「…Aちゃン…？」

僕の手を掴んだ手は小刻みに震えていた。

夏目「…何があったんだイ？」

彼女は何も喋らない。

夏目「…誰かに嫌なことでもされたかイ？」

頭を撫でながら聞いてみる。

首を横に振った。

夏目「…じゃあ…天祥院の関係者と会ってしまった…とカ？」

ゆっくりと頭が縦に動く。

夏目「…そうカ…」

この子の苦しみをわかってあげることは出来ない。

元は敵だから。

この子に代わってあげることは出来ない。

この子のことをよく知らないから。

夏目「…ボクは…どうしたら…君になれるんだろうね……」

ただそれだけ。

今叶えたい。

君の悲しみを…

僕にも分けて欲しい。

暗い中で眩しく光るスマートフォンの画面。

《ココアが飲みたいです》

彼女が唯一、僕に甘えてくれている。

それがわかる1文。

夏目「…一緒に飲もうカ…」

君ともう少し

近づけることを願って