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私はしがないOL｡
どんだけ貯金をしていても
どんだけ頑張って働いても
毎週ﾎｽﾄに通うお金を工面するのは大変だった｡
だけど､どうしても雅紀に会いたくて｡
どうしても雅紀の笑顔が見たくて｡
私は必死だった｡
｢最近､お支払いがｶｰﾄﾞに変わったって聞いて｡
不安になってすぐ確かめてもらったけど｡｣
隣に座る私の手をぎゅ､と握ってくれる｡
｢だいぶ､借金してるよね？｣
そのまま私の肩を抱き寄せた｡
｢俺の為に､借金しないでよ…｣
耳の近くで聞こえる声は
低く掠れていて｡
酷く悲しい声だった｡
｢俺ね､Aさんに会うの好きだよ｡
だけど､借金してまで会ってほしくない｡
…自分を大事にしてほしいんだ｡｣
そう言って雅紀は立ち上がった｡
｢お客様は当店に相応しくございませんので
どうぞ､お引取りを｡｣
そんなに大きい声じゃないのに
やけに響いて聞こえた､雅紀の声｡
｢お客様をお見送りして差し上げて｡｣
黒服の子に告げて､私を見る｡
｢今後､一切当店にいらっしゃりませんよう｡｣
冷たい､温度のない声が私の耳を突き抜ける｡
｢雅紀…待っ…！｣
私の声が届かないのか
雅紀は私に背を向けて奥へと行ってしまった｡
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作者名：きょん | 作成日時：2017年11月9日 22時
