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そんなある日の事だった｡
私は週に1度だけｱﾌﾀｰを頼む｡
ｱﾌﾀｰと言っても､食事に付き合ってもらうだけなのだが｡
｢ねぇカズ？｣
｢何？｣
何が食べたい？と聞くと必ずﾊﾝﾊﾞｰｸﾞと言うカズ｡
味覚が子供のころのままなのだと言っていた｡
その日もﾊﾝﾊﾞｰｸﾞを食べに来て､
食後のｺｰﾋｰを飲んでいる時だった｡
｢夫と別れようかと思ってるの｣
｢えぇ？何で？｣
ずっと思っていた事だった｡
好きでもない夫と人生を歩み続けられない｡
私はいつからかそう思う様になっていた｡
そして､新しい私の人生にカズがいてくれたら…
そう思ってしまう様になったのである｡
｢…ごめん｣
私の話を黙って聞いていたカズが
小さな声で私に謝罪の言葉を投げかけた｡
｢…え？｣
｢俺ね､人妻専門なの｡言ってなかったっけ？｣
俯いていたカズが顔を上げて私を見る｡
｢人妻専門…？｣
｢そう｡人妻にしか興味ないんだよね､俺｡｣
カズの琥珀色の瞳が揺れる｡
｢離婚して俺とって思ってくれるのは嬉しいけど｡｣
｢えっ…じゃあ｣
｢それは俺は応えられないや｣
それだけ言うと｢今日はここで｡｣と
立ち上がって店を出て行ってしまった｡
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作者名：きょん | 作成日時：2017年11月9日 22時
