143 ページ43
「俺も一応、軽音部の顧問なんだけど。」
「…、知ってますよ。え、嫌ですよ歌いません」
「嫌ってなんやねん！」
「あ、でた関西弁」
大倉先生は関西の人なんだけど、こっちにきて日が経ってるから、東京に染まってきて標準語なの普段は。
「いいねん、そんないじりは。」
「なんか、恥ずかしいです、知り合いに聞かれるの」
「らしいな、誰もお前が歌ってることは知らんやろ」
「…、そうですね」
いや、1人いる。屋上で一緒に歌った京本くん
なんなら寮まで送ってくわって送ってくれた大倉先生
「大倉先生、ありがとうございます」
「いや、気にすんな、ほなね」
そう言って紙切れを渡して去っていく大倉先生
それには
「もう先生と生徒の関係じゃないから、変に気遣わずに困ったらかけてこいよ」
って先生の電話番号が書いてあった
そっか、わたしもう大倉先生の生徒じゃないのか
その現実に少し胸が痛んだ
それを隠すかのように急いで部屋に戻り、作曲を始める
その日も全くアイデアが浮かばず、作詞も全く進まなかった
次の日、授業もそっちのけで歌詞ノートにいろんな歌を書いてみるけど、どの歌もパッとしない
スランプって言ったけど、今まで私は歌を作ると言っても、感情のまま歌ってた。
テーマを決められて歌を作ることはしたことがない。
スランプって言っていいのかなこれ
水曜日、一応形になったものを先生に見てもらうと
「Aちゃん。これじゃあ審査通過できないわ」
「…ですよね、自分でもわかってます」
「あと3日よ？」
「前のAちゃんのほうがいい歌歌ってた」
「明日は聞けないから明後日の金曜に聞く」
「それまでにいい歌になることを期待してるわ」
「頑張ってね」
先生がいなくなった教室に1人でたたずむ。
あれ、前のわたしってどんなだろ
あと3日か、やばい
学校を出るまでの間に、すれ違う先生に
「頑張ってね」
そう言われる。
きっと先生からうまくいってないことを聞いてるのかな。
寮に着くと、
『主演映画決定！おめでとう！』
の団幕がデカデカと掲げられている
あ、あのこ主演映画決まったんだ
そう考えていると、その子本人が部屋から出てきたから
「あ、みたよ団幕、おめでと」
「あ、ありがとう！Aちゃんは土曜だよね？」
「頑張ってね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃんちゅ(プロフ) - 久しぶりに一作目から見たら消されたページ多すぎて(涙)大好きな作品なのに〜 (3月24日 19時) (
レス) @page50 id: b85d4cfa80 (このIDを非表示/違反報告)
meimei(プロフ) - 花男のイメージソングにもなっている大塚愛の『プラネタリウム』が脳内で流れてくるくらい、素敵なお話です！ (2020年4月29日 0時) (レス) id: a13d06126a (このIDを非表示/違反報告)
mmm1279(プロフ) - 久々に素敵な作品に出会えて感動しています。更新楽しみにしています。 (2020年4月28日 0時) (レス) id: 66f076b2ba (このIDを非表示/違反報告)
おい田中 - 何か､更新日時が変わってるのに131までしか見れないんです｡皆さんどこまで見てれますか？ (2020年4月27日 23時) (レス) id: 5473afbb93 (このIDを非表示/違反報告)
(*´ ? `*)(プロフ) - 久しぶりに占ツクにハマりました、もうこの作品の虜です！応援してます！ (2020年4月27日 21時) (レス) id: 710bba1f12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆず
| 作成日時：2020年4月25日 15時
