私の声、君の歌声-3-

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「だからAちゃん、今を楽しもうよ」



「うん」



「って事で、ハイチーズ」



っていきなりカメラ向けられるからとりあえずピースして笑った



「うん、いい笑顔」

「Aちゃんは笑ってた方がいいよ」


そう言い残して「ちょっと踊ってくる」ってまた踊りに行ったティラノ






うん、とりあえず今を楽しんで今を全力でやろう


何事も


そう決めてわたしもまた教室へ歌いにいく








ここのレッスンは、日本みたいにボイスレッスンとかはあまりなくて、とりあえずいろんなことに触れて感性を磨くって感じ



だから今度シンガー班でミュージカル見にいくし、


ダンサーもシンガーもみんなでオーケストラ聴きに行ったり



今日なんてタイムズスクエアの路上にダンサー班は踊りに行くみたい





だから負けじとシンガー班は、みんなで一つの曲を作ることにした



映画圏だから全編英語の歌

発音とかいろいろと難しいことはあるけど、とりあえずみんなで曲を完成させて

タイムズスクエアの道で歌ったのは本当にいい経験



日本では路上ライブしてても結構通り過ぎる人が多いんだけど


ニューヨークではみんな足を止めて聴いてくれたり、頑張ってね！とか言ってくれたり


あぁ優しいなぁって






大阪での泊まり込みのレッスンより、気楽に挑めてるし、大阪とは違う経験を得られそう




そんな充実してる毎日は、あっという間に過ぎていく

夢見心地で毎日過ごしてるんだけど、夜携帯を開いてLINEとかインスタをみてる時間が唯一

なんか現実に戻される感じ






みんなで海に遊びに行ってる写真とか、LINEのグループには既読をつけられないし、


最近はインスタも通知がない限り開かないようになったし、


LINEもあんまり見ないようになった






たまにかかってくる着信にも、折返しをかけることもなくなって


最初はみんなからかかって来てた電話も、最近は少なくなった









だからちょっと油断してたの









夜寝ていて、気づくと枕元の携帯のバイブのブーッブーって音で目覚めた


ここのスクールの子とも、LINEより電話で話すことが多くなって

最近は電話をよく使う



だから、ティラノかなって勝手に決めつけて

今は寝たいから無視しとこうって思ったんだけど

1度切れてもまた鳴る電話


4回目にしてようやく名前を確認せずに電話を出る







「ねぇ、なに？何時だと思ってんの、眠い」









「4時」









「………え」

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