Life goes on. (ページ9)

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9__樹side ページ9

「あの…しんたろ、近い」

心臓がもの凄い速さで脈を打つ。

慎太郎に気付かれていないかと不安になって呼び掛ける。

慎「あのさ…聞いてほしい事があるんだけど」

「…うん…？」

慎「一目惚れだった」

「…え？」

慎「あの日俺、樹の事、好きになったの」

そんな事言われると思ってなかったから、自分も同じ気持ちなんだと改めて気付いた。

慎「…でも樹は、普通に生きたいよね。…こんな俺、変かな…？」

ゆっくり距離が離れてまた目が合う。

正直、この気持ちを口にしてしまったら、この先どうなっていくのか怖かった。

世間からは、男同士の恋なんて異様な目で見られるに決まってる。

慎「実は、今でもびっくりしてる。今まで恋愛対象は女の子だったし。…偶々好きになった人が樹だったんだ。男だっただけ。…だからそんなに差はないのかなあ、なんて俺が言うのもおかしいけど笑」

そっか。

好きになった奴が偶々男だっただけ。

人生何が起こるかなんて分からないんだ。

「俺も……一目惚れしたんだ、慎太郎に」

慎「…え」

「全然、変じゃない…俺も慎太郎が好き」

慎「…そっか……良かった」

「ちょ、ちょっと待って、そろそろ離れてくれない…？身が持たない…」

今相当顔赤くなってんのかな。

熱すぎる。

慎「…可愛すぎ…」

「は？…ちょ、んぅ……」

溶けるように熱が籠ったキスに身体中の力が抜けていく。

まだ会って少ししか経ってないのに何だよこの展開。

慎「…樹、そんな顔されたら、止められないよ？」

「そん、な…知らない…」

今まで告白してきた人はその日限りの関係が多かったから慎太郎ともそうなるんじゃないかと凄く不安になった。

慎「俺、ずっと離さないから、だから泣かないでよ」

ここで初めて泣いている事に気が付いた。

薄っぺらい生き方をしていた自分に腹が立って涙が出てくる。

「…おれ、しんたろうが…思ってるほど、良い奴じゃ…ない」

慎「それは樹が思う樹でしょ？もしそうだとしても、俺がどう感じるかは別だよ。もっと樹の事が知りたいんだ」

「…はぁ…しんたろ…」

慎「まぁ今思った事は、泣き虫って事かな？笑」

「ちょっ…ひどい」

慎「ハハッ、ごめん笑。樹はなりたいようになればいいんだよ」

なりたいようになればいいか。

慎太郎のおかげで気持ちが楽になった。

こんな俺を大切にしてくれる彼が堪らなく愛おしくて今日が終わってもこの先も続いていける気がした。