Life goes on. (ページ22)

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22＿樹side ページ22

リビングへ入り対面するように向かい合わせに座った。

父「樹、今まで、本当にすまなかった」

父さんが深々と頭を下げて言った。

父「母さんが死んでから、何もかもどうでもよくなって、俺達の大事な息子なのに…いっぱいお前を傷付けてしまった」

「…知ってる。貴方が泣いてたのも、全部知ってる」

慎「…樹」

「本当は…高校卒業したらこっちに戻ってくるつもりだった。でも、貴方との記憶があまりにも辛くて…もう戻れなかった……やっぱり時間が必要だったんだよ。だってあの時は、何言っても駄目だったから」

「俺、今でもフラッシュバックするんだ。あの怖い顔が忘れられなくて」

父「本当にすまない。ただあの時は…」

「ただ、父さんは誰かに頼りたかったんだよな？でも誰も居なくて1人で俺を育てようとした…」

父さんの目から涙が溢れた。

「分かってるよ、どんだけ貴方の事見てたと思ってんの。俺がもし訴えたらさ、父さん一生1人になると思って……だから少しの間離れたんだけど…ごめんね、遅くなって、逃げたりしてごめんなさい」

父「何で…お前がっ謝るんだ…悪いのは、全部父さんだろ……ほんとっ…母さんに似て優しい子だ…」

父さんの元へ寄って抱き締めると背中に手を回して撫でてくれた。

お互い深く開いてしまった溝を埋めるように強く抱き締め合った。

父「父さんちゃんと罪を償うから、樹はもう自分の人生を送りなさい。ここにも戻ってこなくていい」

「…父さん」

父「来てくれて本当にありがとう。元気でな」

「…うん、父さんも、元気で」

慎「お邪魔しました」

父さんに見送られてアパートから離れた。

慎「……樹？」

「…ふっ…ぅぅ…ぐすっ…」

様々な記憶が蘇ってくる。

小さい時に見た父さんの笑顔。

やっと思い出せた事が嬉しくて涙が止まらなかった。

さようなら。

あの頃の自分。

もう怯えなくていいから。

前を向いて生きて行こう。