恋焦がれる思いは行き場を探す【緑谷出久】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ10)

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やり方ページ10

最悪はまだまだ続くようだ。

　いつもならしない一定の動きを繰り返していたせいか、相手に攻撃を先読みされ、腹を思いっきり一発蹴られた。

「ぐっ!!」

　歯ぎしりをし、その痛みに耐える。

　反動で建物の壁に激突する寸前で私は自分を水で受け止めさせた。

　くっそ。いちいちめんどくさいやつだ。

　ヴィランは単純な頭してればいいのにっ。

　体制を立て直す暇もなく、次の攻撃がくる。

　やばい、よけられないっ。

「あ”あっ!!」

　同じ場所を狙ってもう一発腹に蹴りが入る。

　今度は個性が追いつく暇もなく、私は地面に叩きつけられた。

　くっそ、なんなんだってんだ。

　二度も同じ場所蹴るとか鬼畜だろ。

　アドレナリン分泌されないかなぁ、なんて痛みを忘れる方法を必死で考えるほど、私の体中の痛みはとんでもない。

「まじ殺すって」

　ついに私もかっちゃんの性格が写ってきたのだろうか。

　いつもならこんな言葉使わないのに、使ってしまう。

　これだから嫌だなぁ。

　私は最強じゃないんだから、多少手加減して欲しい。

「そうだとは思わないかね?ヴィランっ!!」

　一気に真上に上り、剣で腹を一刺しする。

　こういう使い方は、私自身の身体に負担をかける行為だからしたくないのに。

　普通の体がこんなスピードで飛ぶことなんてない。

　そのため、空気抵抗が凄く、一瞬呼吸ができなくなった。

　でも、捕まえた。

　動きを止めた隙に、周りを水で囲い、剣を抜き私が離れたと同時に一気に締め付ける。

「やっと終わった」

　ドサッっと地面に倒れこむと、ヴィランも同じく地面に倒れこむ。

　やっと終わったか…。

　安心するのはまだ早かったのかもしれない。

「っ……。
　最悪だ」

　最後まで気を抜くんじゃなかった。

　腹に違和感を覚えたが、それは紛れもなく、何かが刺さっている違和感だ。

　手でそれに触れてみれば、地味に大きなナイフが刺さっているではないか。

　頭良すぎじゃないか?最近のヴィランは。

「おいっ!!A!!」

　私の名前を大声で呼ぶかっちゃん。

　そんなに大声じゃなくてもちゃんと聞こえてるよ。

「おっそ…。何してたの?好きな人見てたとか言ったら怒りMAXだけど」

「しゃべんな!!ちっ、地味に出血が多い」

「平気。それよりも早くヴィランを…」

　気絶させて。そう言おうとしたが、先に私のほうが気絶したみたいだ。

　ほんと、情けない。