恋焦がれる思いは行き場を探す【緑谷出久】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ47)

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含みの意味とはページ47

手をソフトに繋ぎながら、私たちはエレベーターに乗り込んだ。

　玄関から豪華な雰囲気はしていたものの、流石に入口からシャンデリアが天井に何個も吊るされているなんていうことに想像が追いついているわけもなく、エレベーター内でやっと一息ついた気がした。

　しかしこんな平然としている彼を見ると、貯金いくらだ?なんて嫌でもお金のお話になってしまいそうだ。

　彼の服はタキシード姿というのだろうか。似合っているにはいるのだが、彼の中身と外見からみると、地味に合わない気もする。

　私の服装には何も言わず、別に似合っているとか言われたいわけではないのだが、不安な状態でこの場にいる私に、今日の感想なしは地味にきついのです。かといって、自分からどう?なんて言えるほどのメンタルは持ち合わせていません。

「今日は、ありがとう」

　ぎゅっと、少しだけ強く彼の手を握る。

　それに驚いたのか、ぴくりと手が動いた気がした。

「僕も、Aちゃんと会えてよかった。
　今日だけは、絶対に無くしたくなかったから」

　今日だけは?彼のいつもとは違う意気込みに私は少々疑問を抱いたが、深く考える前にエレベーターが指定の階に止まり、結局それ以降は考えることはなくなった。

　結構な上位層まで来たらしく、窓の外を見てみれば夜の街がとても綺麗。

　部屋の明かりも薄暗く、夜景がとても美しく見えるのに最適だ。

　窓側のテーブルの席につくと、メニュー表が渡された。

「ぉっ…」

　英語だ…。別に英語が読めないというわけではない。意味がわからないのだ。一般的な英単語が理解できる程度のレベルではない。これは、料理名なのだから。

　だけど、ここでいずく君に助けを請うのも何か私の中で傷つくものが…。

　それよりもだ。メニューに一通り目を通してみたはいいものの、最低料金が五千円とはどういうことだ?高すぎやしないか?

　一般人の私からしたら、こんな料理口にすることなんて望まなければまずないだろう。

「何がいい?」

「え?…えぇ、っと…。おすすめはある?」

「ご、ごめん。僕も実は初めてで…」

「あ、あぁそうなんだ…ははっ…」

「ははっ…」

　気まずい。とても気まずい。

　想定していなかったわけではない。彼がこういう料理店に足を運ぶこと自体おかしなことだとは思っていなかったし、普通にしているものだと思っていた。

　だけどよかった。彼も普通の人間なのだ。給料は違うけど。