原因追求 ページ5
「それで、なんで彼は倒れたんだい」
「いやぁ、まぁ、なんと言いますか…、ショックで…?」
あはっあはっと、私の口角自体、本当は垂れ下がっており、それを無理やり引き上げているせいか、顔がとてもぎこちない気がする。
どう説明したも何も、まさかあの私たちの姿を見て気絶したってことは言えないだろう…。流石に。
私とかっちゃんの名誉もあるし、何より、それが原因だってことは…断定できないはず…?
「んっ…あれ?」
「おや、お目覚めかい?」
そんな私の危機を、いい具合か悪い具合か、どちらとも言えない程度に壊すように目覚めた緑谷くんに、私も彼のそばにいく。
ベッドの近くにあった丸椅子に座ると、ベッドで横になり、目が虚ろな彼に話かける。
「頭とか平気?うってない…」
「ぎゃぁぁぁあ!!」
「……」
……。
私の顔を見るやいなや、彼は倒れた時と同じように叫び声をあげ、布団をとんでもない速さで頭の上までかぶる。
二度も私の言葉を最後まで聞かないって、なんて人なんだ。
そういうところも好きなんだけど。
「ねぇ…」
私は頭まで深くかぶった彼の布団を引き剥がそうとするが、それはなかなかの力で押さえ込まれている。
さすがヒーローを目指すだけあって、なかなかのちからだ。
だけど、私だって負けていない。
「ねっえっ!」
グイグイっと、半ば引っ張り合いになっている。
そんな私たちを呆れるように、さっさと終わらせなよ。と目線で私に言うと、リカバリーガールは保健室を出て行ってしまった。
こいつっ…。なんつう意地してんだっ。
「ぼ、ぼ、ぼ、僕!かっちゃんとAちゃんが付き合ってるって知らなくて!!
だから、ごめん!!」
「え?」
彼の言葉に驚きを隠せず、私はアホみたいな声を出してしまった。
同時に引っ張り合っていた手も離れてしまい、そのまま強く引っ張っていた彼は、ベッドから転げ落ちる。
ドサッ!!と、布団と一緒に転げ落ちた彼は、ううっっと唸った。
「いったそ…。手、掴める?」
私はベッドの上にのり、地面に落ちた彼へ手を差し伸べる。
ううっっといいならがらも、彼は私の手をしっかりと握ると、それを確認した上で、私は彼を引き上げた。
「ねぇ、あのさ」
「ぼ、ぼ、ぼくっ!!見てないから!!何も!!」
「ちがくて…」
「ほ、ほ、ほんとごめんね!!」
「ねぇ聞いて!!」
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作者名：雪飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/_kz_0
作成日時：2017年7月24日 0時
