恋焦がれる思いは行き場を探す【緑谷出久】【僕のヒーローアカデミア】 (ページ4)

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するもしないも自分次第ページ4

真っ青な空が、今は凄く物足りない。

「しない…かな」

「…あっそ」

「だって、私きっとフラれるよ…?
　それなら、まだかっちゃんのほうがいいかな…」

　私は寝転がっていた体の上半身を起き上がらせ、隣で寝転がっているかっちゃんの上へまたがる。

　彼は驚いたように、でも、特別焦ってはいなかった。

　まさに余裕があるって感じだ。

「私と付き合わない…?」

「冗談は寝て言えブス」

「だってさ、私のこと地味に知ってるの、かっちゃんでしょ?
　なら、かっちゃんとのほうが私は幸せになれる気がする…っ」

　最後まで私の言葉は続かなかった。

　彼は私の肩を両手で掴むと、今度は彼は私の上に乗っかった。

　背中には地面がドンッとあたり、かなり痛かったが、それよりも今の状況のせいで、痛みは全然感じられないほどだ。

「もし俺が今お前にキスをしたとして、お前はどう思う」

「どうって…、どうもしないけど…」

「あっそ、じゃあ文句言うなよ」

　そう言うと、彼は私の顔に自分の顔を近づける。

　え、まって、本当にするわけではないよね?

　だって、彼は私のこと好きじゃないはずだ。

　それは確信があるし、それゆえなぜ彼は私に顔を近づけているのかがわからない。

「どうして…」

　吐息がすぐにかかるほどに、鼻と鼻がくっつくほどに、私とかっちゃんの顔は近づいていた。

　彼はこんな性格じゃないのに…、なぜこういうことをするのだろう。

　あぁ。と、私はわかった気がした。

「緑谷くんのこと、大好きなんだね」

「はっ!?」

　そうか。これが友情か。

　なんてほのぼのしたものなのだろう。

　自分を汚してまで彼の幸せを願う。なんていい人なんだ。

　そう思った時だ。

　ガチャンと屋上のドアが開かれる音が響く。

　あぁ、きっと私たちを呼びに来た緑谷くんだろう。

「みどり…」

「あああああああああああああああああああああああああ!!」

「っ!?」

　緑谷くんの大声の叫びで、私は言葉を飲んだ。

　何!?どうしたの!?

　私は入口の方に目をやると、彼はどさっと倒れ込んだ。

　それ自体かっちゃんも見ていたようで、私たちは目を合わす。

「あぁ…勘違い…されたかな」

「ふっざけんじゃねぇぞクソブス！！！」

「私のせい…なのかぁ」

　とほほ。となりながら、私は倒れた緑谷くんを背負いながら、ヒーロー科の保健室へ彼を運んだ。

　かっちゃんはやってられるか。と、屋上のドアを蹴飛ばし、教室へ戻っていった。