魅力的なヴォディ ページ29
「ってか、下着の婆臭さはともかく、この魅力的なボディにひれ伏さないわけ?」
小さくも大きくもない、普通の胸を、えいっと見せびらかす。
なんとなく彼の反応にムカついたからやってみたのだが、なんだろう。
恥ずかしくなってきたじゃあないか。
これもすべて彼のせいだ。
やめだやめ。私はクローゼットから着る服を取り出すと、扉を閉める。
いや、閉めていない。閉められた。
「やっだぁ、何？最近女子高生の間で流行りの壁ドンってやつ?」
「お前、俺のモコイチのカレー食っただろ」
「…は!?」
「殺すぞ」
「え?は?違うけど」
手を私の横に当て、上から目線で私を威圧する。
その現状に、私に確かに非はないはずなのに、なぜか自分が悪い気分になってくるのはよくない。
しかも、私は今すぐにでもいずく君の元に会いに行きたいのに、こんなところで足止めを食らっている場合ではないはずだ。
故に、今すぐここからの打開策を考える必要がある。
いやそれ以前に早く服を着たい。
「一旦落ち着いて話し合えばわかるっ…うっ!!」
私の弁解…という名の無罪主張はあっけなく聞き届けられることはなく、私の素肌に、尚且ついい感じに腹に拳が入れられた。
ぐふっと、夕飯を食べていたら口からそれがすべて出てきそうな感覚。
なんで無実の私がこんな目に遭うのだろう。
そんなこと、思ったところでとき既に遅し。
「私じゃないのにっ…!!」
ペチンッと今度は私がかっちゃんの顔に平手打ちを入れる。
お腹の痛みもさながら、仕返しをした。
「っつてええ!!やりやがったなてめぇ!!」
「何よ!?先にやったのはどっちよ!!」
そこからは意地の張り合い。
いい大人なんだから、話し合って解決しなければならないだろう。
ましてやヒーローを名乗る私たちだ。
拳と拳で語り合うなんて言葉あるが、流石に個性同士を使っての喧嘩は度が過ぎているというもの。
部屋の家具に傷は付き、本などは空中に飛び地面に落ちの繰り返し。
まるで強盗に入られたかのような部屋の有様。
結局それは部屋に食べた本人が来るまで続き、数分の出来事で部屋はめちゃくちゃになった。
＿＿
「服着ましたか?」
「はい…お待たせしました」
一旦かっちゃんと事務所の後輩は私の部屋から出、私は服を着た。
部屋は相変わらずむちゃくちゃな有様な為、なぜかかっちゃんの部屋に行くことに。
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作者名：雪飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/_kz_0
作成日時：2017年7月24日 0時
