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「これは期間限定じゃもったいないと思わないか?」
「…そうね」
あのあと結局私は散々煽られながらも、彼は私が食べた量より少し少ない量を食べきった。
後々考えてみれば、関節キスとかいう学生時代とても興奮した出来事が起きていたが、そんなこと、後々思い出すだけの思い出。
完食後レジへ行けば、どちらが先に支払うかの競争のようになり、結局財布が鞄の中からなかなか顔を出してくれなく、一足早く轟さんが支払っていた。
ここまでやってのけられると、私も流石に呆気にとられる。
店から出ると、また手をつなぐ。
もういいんじゃないのか?と言っても、一日デートという言葉を彼に言われると私も何も言えなくなる。
「そろそろ三時だが、どうする?」
「どうするって…」
またパフェを食べる前の、予定もなくぶらつく状態に舞い戻っただけではないか。
あぁどうしよう。と、また頭を抱えたい気持ちのまま道を歩く。
「何か、したいことないんですか」
はっきり言うと、口も聞きたくない気分だが、流石に何もしないでぶらつくのは私もプライド以前にきつい。
少しぐらい何かして欲しいとか、したいとか言ってくれればいいのだが。
そんな軽い気持ちで聞いてみる。
「あの!!轟さんですか?」
が、彼の返答は、なぜか知らない女性により遮られる結果となった。
いきなりのことに、轟さんは一歩下がる。
その手を握っていた私も一歩下がった。
「ファンなんです!!サインください!!」
「あ…あぁ」
そうだった…。と、色紙を取り出している女性を見て思う。
彼はプロヒーローだった…。
いつかこんなことがあるはずなのに、なぜか私はそのことを頭の中から消し去っていた。
というより、気づいてすらいなかった。
女性の声に気付いた女性や男性が次々と集まりだし、最終的に数十人が彼の回りを囲んだ。
やばい。と思った頃には、彼を引いてどこかへ逃げることは不可能。
「あの!そちらの女性は彼女さんですか?」
「え!?ホントですか!?」
ある女性への質問から、余計騒ぎは広がる。
これじゃ収集がつかなくなるぞ。
なんとかして。と目線で伝えても、どうしようもないだろう。という返答が目線で帰ってくる。
だろうな。とは思っていたが、流石に…。
「違いますから!!」
しかし、この質問にはしっかりと否定しておく。
そうしなくては、後々変な噂がたってしまうからなぁ。
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作者名：雪飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/_kz_0
作成日時：2017年7月24日 0時
