【ヒロアカ】 (ページ2)

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そんなふうに問いかけても、いつも通り返事など返ってくることはない。

ゴクリゴクリとお茶を飲む音が聞こえ、一瞬どうして自分はここにいるのだろうと思った。

それも蝉の音で一瞬にしてかき消されてしまったのだが。

私も喉が渇き、飲み終わった弟の残りを喉に流し込む。

照りつける日差しに全てが溶かされてしまいそうで、夏というのは心底好きに離れない。

「瑞智?」

いつの間にか私の隣に座っていた彼は立ち上がっており、とぼとぼと炎天下の下に立った。

振り向かないその背を眺め、結局彼は私とは違うのだと、今更ながらの気持ちを抱く。

「すみません。少しお時間宜しいでしょうか?」

呼び戻そうと声を出しかけた途端、後から耳に届いた声に、出そうとした声が飲み込まれた。

「はい?」

後から近づいてくるのに気づかないなんて…。

最近ろくな睡眠をとっていないせいだろうか。という言い訳を勝手にしながらも振り向きざまに返事をした。

「っ!?」

顔に動揺が出たかもしれない。まさかこのタイミングでヒーローが声をかけてくるとは思わないからだ。

「こんにちは。僕はデクといいます。
数時間前に起きた事件についてお聞きしているのですが…、先に個人的な質問をさせてもらっても宜しいでしょうか?」

ニコリと微笑みながら問いかけてくる。こういうのを一般人がやられたらすぐに気を許しそうだが、それが逆にこちらとしては恐怖を植え付けられる。

まさか顔に拭き忘れていた血痕があったのだろうか。

上着の隙間から血がついた洋服が見えたのだろうか。

原因を頭でフル回転しながらも、ベンチから立ち上がり、1歩後に下がり距離をとる。

「いえ、ただこんな真夏日に長袖なんて珍しいなーと、ただそれだけなんです」

「えぇ、私も一応女性なので、日焼けは避けたいんです」