今日ここからはじめよう〜俺とお前と天使と大ちゃん〜完結(ar×in×cn×ym)

優しい棘 ページ32

伊野尾side









山「なんだよ」



今、目の前には不機嫌な山田がいる



どうしてか？

せっかくの休みの日に
俺が家に押し掛けたからかもしれない



「暇なんだ〜」



山「知らねーし」



照れ隠しで怒っているんじゃないらしい

知念と約束があるそうです

でも、俺が来たから出掛けられないって
なんだかんだ言って放っては行かないんだね



「知らない？」



山「主語」



「八乙女先輩について」



山「は？」



より一層眉を潜める山田



山「なんで？」



「なんとなく？」



曖昧な俺に呆れるように言う



山「彼女と別れたって聞いたけど？」



と言うことは大ちゃんと……

視線を下げて落ち込んでいると



山「一人前に嫉妬でもしてんの？」



“嫉妬”何て言われて顔をあげると目が合った



山「大ちゃんと最近仲良いよな」



「知ってたんだ」



山「連絡先教えたの俺だし」



なんだ、山田も繋がってたのか……



山「なんだよ。お前がいつまでもハッキリとしなかったのが悪いんだろ」



反論できないのが悔しい

山田の言うこと全てが
間違っていないのが悔しい

その通りなんだ
回り道ばかりを選んでいたことを悔やむ



「今の関係が普通なのかな。
今までが異常だっただけで……」



諦めようと、誰かに“それでいい”と言われたい
弱気になってるように見せて慰めてほしい

そんな魂胆山田にはお見通し



山「お前さ、頭良いくせにバカだな。

今まで大ちゃんがお前のことを追いかけてたわけだろ？
そのときに気付けなかったお前が悪いのは明らかなんだから、今度はお前が追いかけろよ。」



「俺、今度はちゃんと伝える。

“好き”だって。」




“あっそ”山田は何でもない顔して答えた

いつもちょっと冷たいフリして優しいんだ




「フラれたら知念に慰めてもらうね〜！」



山「んなこと許さねえぞ！」








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