今日ここからはじめよう〜俺とお前と天使と大ちゃん〜完結(ar×in×cn×ym)

会えない ページ23

伊野尾side









人混みを掻き分けて大ちゃんを探す

村田の言っていたことが本当なら
まだ近くにいるはず


まだ鳴り響く花火




“大ちゃん……”




誰にも聞こえない心で君の名を呼ぶ


あのときの顔が思い浮かんだ

またどこかで泣いてるんじゃないか
寂しがってるんじゃないか

早く見つけないと


そんなことを思って




歩き回って時間だけが過ぎて
ついに花火は終わった

帰っていく人たちの逆流にのまれそうになる



そんな中で山田と知念の姿が見えた




「山田っ！」




何度か呼んで漸く気付いた




山「……伊野尾？」



知「あれ？大貴は？」




その様子じゃ大ちゃんが何処にいるか知らないよね




「今探してるんだ」



知「大貴も伊野ちゃんのことを探しに……」




やっぱりそうなんだ

俺と村田のことを見つけた大ちゃんは何処へ行ったんだ？




「会ってない…」



山「……電話は？」



「してないけど」




ポケットからスマホを取り出して電話を掛け始める山田




知「繋がるかな？」



山「…………ダメだ。出ねえよ」




いつも肝心なときに繋がらない




「……俺、探してくる。二人は帰っていいよ」



山「帰っていいって」




山田の言葉を最後まで聞かず俺はまた人混みの中へ走った









ッッッ



山「ん？……電話だ」



知「誰から？」



山「……先輩だ

もしもし？お疲れ様です。



えっ？有岡ですか？」









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