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その日、リョウタはとても優しく抱いてくれた。
とても甘くて、幸せな時間だった。
あの幸せを手放してから10年。
俺は、お父様に決められた人と明日結婚する。
所謂政略結婚だ。
正直、心の中はリョウタでいっぱいで、相手の人の特徴も性格もまるで覚えていない。
やたらアピールしてくるところくらいしか記憶にない。
...嫌だな、偽りの幸せはほしくない。
リョウタ...会いたいよ...。
...まだ誰のモノでもない俺の最後の夜に、
...もう寝よう。
そう思い、カーテンを閉めてベッドに入り込むと...。
ｺﾝｺﾝｺﾝｯ
と窓からノック音が聞こえた。
...え？ノック音？
ここは3階...、人が登ってくるなんてまずありえない。
それに夜の兵士が見回りをしているし...。
恐る恐る窓に近づき、カーテンを開けると...。
「っ！リョウタ！！｣
金色の粉で輝くリョウタが立っていた。
「リョウタ...リョウタ！｣
赤「ちょ、ショウタ危ないよ！...約束通り、迎えに来たよ。｣
「っ...！｣
本当に...来てくれた...！
10年ぶりのリョウタは、とにかく大人っぽくて、筋肉がついていてさらにかっこよくなっていた。
そして左手には、俺とお揃いの指輪もはまっていた。
「リョウタ...。｣
赤「さぁ行こう。急がないと、俺の優秀な兵士が足止めをしてくれてくから。｣
「！...うん！｣
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作者名：名のない納棺師 | 作成日時：2021年5月24日 19時
