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明日の朝は、とても早いの。
真っ白なタキシードを身にまとい、神の前で永遠を誓う。
とても素敵で、大好きな人よ。
俺ね、あの時より随分大人になったんだよ。
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〜10年前〜
俺は貴族の息子。
昔から勉強を強要されていて、父親の言いなりだった。
学校、服装、口調、全てにおいて制限されていた。
唯一の味方だったお母様も、俺が小学生の頃に病気で亡くなってしまったし。
ずっとこんな生活、抜け出したいと思っていた。
18のガキがこんなこと思うなんて、相当だろ?
そんな俺には専属の執事がいた。
名前はリョウタ。
リョウタは小さい頃からの幼なじみで、唯一息抜きができる人だ。
赤「失礼致します。ショウタ様、アフタヌーンティーをお持ち致しました。」
「ショウタ“様”?」
赤「!...ごめんね。扉を閉めるまではこの口調じゃないと怒られるから。」
「むぅ。お父様もそれくらい許してやればいいのに。俺が壊れる〜!」
赤「ショウタに悪影響って思われてるんじゃない?」
「そんなんなくても俺はとっくに腐ってます〜!」
赤「やめなさい(笑)」
リョウタの前では敬語なんてない。
それと同じで、俺の前でも敬語を許していない。
だって、ずっと一緒のリョウタにまで俺の事上に見られたら一人ぼっちになっちゃうから。
それにね、お父様にもみんなにも内緒にしていることがあるんだ。
それはね、
赤「!ショウタ、口の端にスコーンのカスがついてるよ。」
「え?どこどこ?」
赤「ここ...。」
チュッ
「っ///ふ、普通にとれよな!///」
赤「ごめんごめん。でも、たまにはいいじゃん?」
「っ〜///」
そう、俺とリョウタは恋人同士なんだ。
つきあい始めたのは、俺らが13の頃だったかな。
リョウタの方から告白されて、それからずっと人目を盗んで手を繋いだり、ハグをしたり、キスをしたりしている。
こんな些細なことでも、幸せを感じるんだ。
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作者名:名のない納棺師 | 作成日時:2021年5月24日 19時