【恐縮ではございますが】 ページ5
「いっただきまーす!」
もぐもぐもぐもぐ。
女性の癖にはしたなく御飯をかきこんで食べる姿に呆れる。
それほどお腹が空いて居たのか。
又は、元々そんな食べ方なのか。
「落ち着いて食べろよ」
苦笑しながら景光が言うと、Aは「ふぁい」と答えた。
……俺もしっかりと朝ごはんは食べる派だし、自分で作ったものが美味しかったりするとついかきこんで食べてしまうが…。
…急いでいたりするのか?
「で。ゼ…、…降谷はご飯、何にしたんだ?」
「… … …カツ丼。お前は?」
警察学校内の食堂はお手軽な値段で、更に警察官になることを踏まえてカロリー計算をしてくれている挙句に栄養バランスが良い。
故に、一声にカツ丼と答えたが、そのほかに味噌汁やキャベツなど、ちゃんとしたものが揃っている。
「俺はカレー」
「… … …」
「そ、そんな顔するなよ…ホント日本大好きだな…」
当然だ。
カレーは食べられなくもないし、ちゃんと好きだが、好き好んで頼むほどではない。
食べたくなったら食べる、それだけの存在だ。
基本は和食一択。
日本を重んじるべし。
「いただきます」
そう呟いてカツ丼を口にすれば、久しぶりに食べたそれに少しだけ顔が綻ぶ。
…うん、美味い。
警察学校に入る前は少し不安だったが、しばらく経てばやはり食堂にはお世話になるもんだ。
「アレ?降谷さんって、日本で産まれたんですか?」
「アッ」
──── ピシッ……と体が固まった。
「… … …夜光」
「はい」
「まことに恐縮でございますが、御逝去あそばしていただければ幸甚に存じます」
「ちょ、ゼロ!!」
「あぁぁぁぁ♡」
「えっ、喜んでる!?」
やめろ景光。
コイツを心配するだけ無駄だ。
言った俺でさえ「あ、褒め言葉だった」って今呆れてるさ。
まったく、コイツに何を言えば仕返しになるんだよ、ホント。
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作者名:天高 星 | 作成日時:2018年7月7日 16時