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「いただきます」
零は律儀だ。
私のご飯ができるまで忙しなくPCと向き合っていて何かを打ち込んでいたのに、私が「出来たよ?」と声をかけると作業を止めてくれた。
普通の人ならきっと、ご飯をつまみながら仕事をするんだろう。
「ど…どうぞ……」
零にご飯を出すのは初めてである。
学生時代に言われた感想のこともあり、不安が募る。
もぐ…、と。
見た目はいいハンバーグを口にした。
「… … …」
「… … …」
沈黙が流れる。
「どう?」と聞いてみようか。
「あ、あの…ど…どうか」
「美味しい」
「えっ…?」
「どうかな」。
そう聞く前に、零はそう答えた。
「確かに、見た目がいいわりにはちょっと複雑な味ではあるけど、独特でクセになるから美味しいよ」
「れ、零…!」
他の人は、きっと適当に不味くても「美味しいよ」で終わらすのだろう。
しかし、零は違った。
具体的なところを言ってくれた。
嬉しい。
「いただきます!」
それが嬉しくて、私も口にハンバーグを運ぶ。
瞬間 ────。
「ん゛…!?」
喉を詰まらせそうになった。
「…れ、零……」
「ん?」
もぐもぐと何気ない顔で平然と頬張って食べている零を心配そうに見る。
ハンバーグ、ボソボソとしているし、なんか…うん。
きっと塩と砂糖間違えてめっちゃ甘いし。
しょ、食中毒とかにならないかな…!?
「ご、ごめん!やっぱコンビニかそこらで買ってさ、食べ」
「A」
ごくん…と頬張っていたものを彼は飲み込み、それから私の名前を呼んだ。
「な……なに?」
「もう一度言う。美味い。お前が作ったから美味いんだ」
──── こんなことをサラッと言う26歳のイケメン童顔に惚れ直さない人居ないでしょ…???
「…ありがとう」
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桜花(プロフ) - 序章の最後の文、わた ってなってますよ (2020年5月16日 10時) (レス) id: 6ec563add7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天高 星 | 作成日時:2018年7月3日 9時