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【もしも、俺が。…人を殺していたらどうする】
……なんて、例え話でも出来やしなかった。
増してそれは例え話じゃない。
「バーボン」としての仕事だから、人殺しはしているんだ…。
まぎれもない事実。
軽蔑。
憎悪、嫌悪。
醜い。
嘲笑…。
どれもAはしないことをわかって居るが、どうしても考えてしまうし、
寧ろそれをしないということが逆に怖い。
「…警察なのにな…」
くしゃ…と髪をかきあげてそう呟く。
警備企画課に任命されたのは良いが、こんな潜入捜査があるとも想像しないだろうよ。
「黒の組織壊滅のためだけに潜入捜査をして…人殺し、か」
…いけない。
あんまり考えるな…。
仕事もあるんだし ────。
そう思っていた矢先に、携帯が鳴り響く。
慌ててマナーモードに変えて、ディスプレイを見た。
【Vermut】
「… … …」
疲れて寝ているAを一回見てから立ち上がり、部屋を出る。
スヤスヤと寝ているAで少しだけ癒された。
「…はい、もしもし。こんな時間に何の用ですか?」
【あら、随分な言いようね。仕事よ】
「…わかりました」
──── 最近入ったばかりの僕に仕事なんて与えて来なかったくせに。
嫌なタイミングで与えて来やがる。
… … …まぁ、NOC事件があったばかり…だからな。
【早く来てね。バーボン】
「えぇ。貴方も女性だからって遅く来ないでくださいよ。ベルモット」
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桜花(プロフ) - 序章の最後の文、わた ってなってますよ (2020年5月16日 10時) (レス) id: 6ec563add7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天高 星 | 作成日時:2018年7月3日 9時