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せっせ…と店員さんがお金を詰めている。
犯人はよっぽど逃げていることに関して自信があるのか。
普通の人なら急かすであろうその行動を、急かしもせずにのんびりと見ている。
どうしよう、酒のせいで眠くなって来たし、ちょっと…しかも、あの…
催して来たんだけど…。
もぞ…もぞ…と縛られている中、小さく身体を動かしていれば、唐突にバァンッ!!!と銃が発砲されたような音が鳴り、身体が跳ね上がる。
おかげで引っ込みはしたが、今の音と…、この、火薬の匂い…って。
恐る恐る音のなった方を見れば、店員の側の壁に穴が空いていた。
銃を持っているのは刃物を持っている犯人。
──── っえ、持ってるの刃物だけじゃないの!?
…最悪、刃物だけならことが済んだ時にわりかし逃げられるのでは、と。
そう思っていたが、銃…!?
「「ひっ……」」
やはり、口から漏れる声は漏れるもので。
何人かと及び、私がそう声をあげた。
思わずこの現実から目を背けたくて、目を閉じる。
不思議と、目を閉じると第五感が落ち着いて働くみたいで、耳がピクリと動いたと同時に、何故かこの居酒屋の扉が開かれた。
騒動はおそらく外からでも聞こえているのに、だ。
「すみませーん、熱燗ひと…つ?」
……え、この声。
恐る恐る目を開けて声のする方を見ると、
──── 零が居た。
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桜花(プロフ) - 序章の最後の文、わた ってなってますよ (2020年5月16日 10時) (レス) id: 6ec563add7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天高 星 | 作成日時:2018年7月3日 9時