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「くっしゅん！」
大きなくしゃみを連続して数回かました目の前の女を見て、少し心が痛む。病み上がりの彼女を無理矢理引っ張り玄関に連れてきて突き飛ばすなんて、オレらしくもない。普段だったら女の子に対してそんな振る舞いはしないはず。一虎くんが言うようにオレは全ての事柄に対して何故だかイライラしていた。
オレが突き飛ばしたせいで彼女は今玄関前の冷たい廊下の床に座り込んでいた。不本意だが目の前で体を震わせている姿を見るとどうも無視できない。ため息をついて先程とは違い今度は優しく彼女の腕を掴んで立たせてやった。
「え！？住まわせてくれる気になったの？」
「違う、勘違いすんなよ。オレはそんなにお人好しじゃない。話を聞くだけ聞いてやるってだけ」
「…お人好しじゃなかったら、見知らぬ女を献身的に看病はしないと思うんだけど」
「あ？なんか言ったか？」
「いいえ！何にも言ってません」
出勤時間まであと2時間。
さっさと話を終わらせよう。
「わーホットミルクだー！」
体が温まるようにマグカップに牛乳を入れて、レンチンしただけのものを彼女に出すと、彼女は両手を広げわかりやすく喜んだ。その喜んでる彼女の姿を、尻尾を振って喜ぶ犬のように見えてしまったオレはきっと疲れてるんだと思う。
「一人暮らしの男の人の家に牛乳が常備されてるなんて思わなかった」
「何だよその偏見。少し前まで猫を飼ってたからその癖でついつい買っちまうだけ。オレは飲まない」
「そうなんだ。その猫ちゃん今は一緒に暮らしてないの？」
「あぁ、死んだからな」
「……あ、ごめんなさい……」
「はぁ…そんな深刻な顔することじゃねーよ。寿命だったし、ガキの頃からずっとそばに居て長生きしてくれた。一緒に過ごした時間、十分幸せだったし悲しいことなんてねーよ」
「…そっか。お兄さんにそう言ってもらえるならきっと…いや絶対猫ちゃんも幸せだったね」
「……どうだろーな」
「絶対そうだよ！だって今お兄さんに入れてもらったホットミルク飲んで、お兄さんの優しさを感じて私は幸せだもん。猫ちゃんだってきっとそう」
何でオレは出会ったばかりの女に慰められてるんだろう。オレと飼い猫のペケJのことなんて何も知らないこの女に「幸せだったね」と言われてお前に何がわかるんだ。と一瞬噛みつきそうになる。けれど、ふにゃっとあどけない顔をして笑って言った彼女の言葉はスーッとオレの心に自然に入り込んできた。
…調子が狂う。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
