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渋谷の街並みは一見都会の華やかな場所ではあったが、見る目奪われるような派手さは少しもない。けれど初めて入ったその場所は、渋谷の雑然とした街並みの中にあるには実に不釣り合いで違和感だけが残るほど煌びやかに飾られた空間だった。
すれ違った派手なドレスに身を包んだ女たちからツンとした女特有のキツい香水の匂いが鼻腔をくすぐり、思わず顔を顰めた。今オレの1番間近にいる女はペケで、彼女から香るオレと同じシャンプーや、ボディーソープ、洗剤の慣れ親しんだ心地の良い匂いとはまるで違うその独特な匂いに頭に浮かんだのは"苦手"ということだった。
夜になればどこからともなく湧き出てきたかのように、至る所から働きに出るためブランド品や濃い化粧、キツい香水で身を固めた女達が集まり、その女達と一瞬の至極の歓楽を味合うために男達が集まる。まさに男と女の需要と供給が少しのズレもなくぴったりと合わさった場所だったけれど、この場所で歓楽を求めているわけじゃないオレには居心地のいい場所ではなかった。
何でオレこんなところいるんだろ…。
あいつ、ちゃんと飯食ったかな…。
ペケのことを思い出し、今日は仕事終わり家に帰っていないため食事を作ってやれなかったことに今更罪悪感と心配の気持ちに蝕まれた。ペケは、夜オレが帰ってから一緒に食事をして、風呂に入り、いつも通りオレが髪の毛を乾かしてやってから化粧やら何やら準備を整えて仕事に出る。
連絡をしようにも携帯を持っていないペケに、連絡することはできず、もうとっくに仕事に出ている時間ではあるけど、家に帰りアイツがちゃんと飯を食えたかどうか確かめたい気持ちでいっぱいになった。
「一虎くん…オレやっぱり…」
黒服に席を通されて、すぐに一虎くんが注文したビールが目の前に置かれたところで隣に座った彼に声をかけた。
「何？」
「やっぱりオレ帰、」
「失礼します。Aさんです」
帰る意思を一虎くんに伝えようとした丁度その時、黒服が目の前に女の子を連れてやってきた。タイミングミスったと思いながら、黒服の後ろにいた女に目を向けると
「………え？」
「羽宮さん、こんばん……え？」
目を大きく見開きオレを凝視する彼女と視線が交わり、心臓がドクンと音を立てる。
何でお前がここに…。
「A、これオレの仕事の一応オーナーの千冬ね」
一虎くんが「A」と呼んだ彼女は、オレのペットだった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
