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元々ある程度金の準備ができて、新しい家が決まるまでという共通認識の上に成り立っている今の生活。それはこいつも十分わかっているはずだ。なのに、少し拗ねたように寂しいと唇を尖らせて何度も彼女は言った。けれど、だからといって「それならこれからも一緒に住むか？」という彼女への提案はオレの中にはこれっぽちもなくて、そんなのはゴメンだし、そもそもこいつとこれから先も一緒に暮らす理由も、こいつが出て行った後だってこいつに会う理由なんかどこにもない。オレたちは主と飼い犬という奇妙な関係なだけで、その関係にもタイムリミットがある。
だけど…
「この先さ、お前が出ていった後お前と関わるか関わらないかなんてその時次第だしわかんねーじゃん」
「…うん」
「いうても、この近辺で暮らしてりゃいつかばったり会うかもしれねぇし」
「…でも、それだけの関係になるのは、」
「先のことはわかんねぇけどさ…確実に今言えるのは、オレはお前の飼い主なんだ。飼い犬の面倒くらいちゃんとみる」
「っ、それって…」
「お前が自立するまで好きなやつなんて作らない。お前のこと1人にしねーから安心しろ」
ペケの瞳が大きく開かれ、刹那に揺れた。
「っほんと…？」
「今お前にはオレしかいねーの十分わかってるよ。そんなお前を捨てて、自分の恋愛優先なんてオレはしない」
「…あり、がとう…」
「おー」
「いい子に…いい子にするからね。だから後少しだけ一緒に居てね」
「わかったって」
「私も、その時が来るまで千冬くんのそばから絶対離れない」
「……お前がオレから離れられるとは思ってねーよ」
オレのその言葉を聞いたペケは、オレが好きなふにゃっとした愛くるしく可愛い顔して笑った。
誰だって、1人になることに寂しさや不安を感じる夜はある。
誰かがいるだけで、大袈裟かもしれないけど生きていく力になることだってある。
突然1人になった時の、喪失感や恐怖な気持ちを知っているから。
「一緒に居て」と、普段じゃ想像もできないくらい沈んだ顔をしていう、ペケの頭をガシガシと乱雑に撫でてやった。そうすればこいつは笑ってくれる。
今はとにかく、こいつが笑って帰ってくる場所をオレが作ってやれればそれだけでよかった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
