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ペケはいつも笑っていた。オレが仕事から帰れば、ドタドタと大きな足音を立てながら走って玄関までやってきて満面の笑みで「お帰りなさい」と言い、ご飯を作ってやれば一口一口ゆっくり味わいながら「美味しい、幸せ」と嬉しそうな顔をする。恒例となった風呂上がりのドライヤータイムには、洗面所からドライヤーを両手で抱えながらトコトコやってきて、ふにゃっとした笑顔でオレと向き合うようにソファー下に正座した。
時間があうときは一緒にテレビを見たりして過ごす中でも、しょうもないギャグをかましている芸人を見て腹を抱えて足をバタつかせゲラゲラ笑う。とにかくペケと言われれば、すぐに浮かんでくるのはこいつの笑顔。最初は、能天気な悩みなさそうな奴…ぐらいにしか彼女に対して思わなかったが、いつのまにかこいつの笑顔を少なくともオレは可愛いと感じるようになり(愛犬として)、もうすぐ一緒に暮らして1ヶ月が経とうとしていた今、彼女から癒しを与えられてるいう事実を誤魔化す言葉も出てこなくなっていた。
いつも明るく元気に笑っている。そんなペケが「いつかは千冬くんにも好きな人はできるし、お金が貯まれば私はこの家を出て千冬くんと関わりなくなるんだよね…また1人になるんだね私」と朧げに言う姿を見て心がギュッと掴まれ潰されるような感覚になる。薄く笑みを浮かべているけどその顔はいつもオレを癒していたような愛犬らしい愛くるしい笑顔なんかでは決してなくて、こんな顔をして笑うペケは嫌いだと思った。
「好きなやつができるかどうかなんて、先のことなんてまだわかんねーんだからそんなしけたツラしてんなよ」
「…うん」
「…まあ確かにお前がここを出たときは、関わりは無くなるかもしれねーけどさ」
「その現実が受け入れられないよー」
「しょうがなくね？そもそも今オレとお前がこうしてることのほうがリアルに考えて現実味なんてねーし」
「…わかってる。奇跡だと思ってるよ。今千冬くんと過ごせてるの。だけど、思ってたよりも千冬くんと過ごす時間が幸せすぎて、お金貯めたいけど貯めたくないって感情になってきた」
「おい、それは約束が違うだろ」
「わかってるよ。…ちゃんと早くお金貯めて出て行くよ。だけどね…わかってるんだけど、やっぱり寂しいなって」
だから…そう言う顔すんなよ。耳を垂らして俯いて体を小さく丸めながら悲しそうな顔をするこいつに、どうしたらいいかわからなくなった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
