015-1 ページ39
ここ最近、一虎くんの様子がおかしい。
「一虎くん」
「………」
「一虎くん！！」
「…え、あー何？呼んだ？」
こんな感じで仕事中だと言うのに常にボーッとしている。何度か呼んで振り返った彼に「手止まってるけど」と作業を促せば「あー…悪い」だなんて、無気力の状態で返された。そんな一虎くんを見てため息をつく。ここのとこ毎日のようにこれだった。
「……なんか悩んでんの？」
「オレ千冬に相談するほど、落ちぶれてないんだけど」
「いや、一虎くんは落ちぶれてるだろ」
「テメェ…年上にその態度いい加減改めろや」
「オレ一虎くんのこと年上だなんて思ってねぇもん」
こんなやりとりはいつものことだが、いつもと違うのはここで一虎くんが何も言い返してこないとこだった。いつもだったら、「千冬、一回ぶっ飛ばしてやるから外出ろよ」とか「2度と生意気な口叩けないようにしてやる」とか、何かしら喧嘩腰で突っかかってくると言うのに、今日は「千冬と言い合いする元気ねぇから」と簡単に白旗を挙げるもんだから調子が狂う。
「え、何？マジで悩んでんの？」
「悩んでるってか…わかんねぇんだよな」
「は？何が？」
「…女との絡み方」
思わず持っていた商品のドッグフードを床に落とした。「わ、お前何やってんだよ」と言いながら一虎くんはオレが落としたドッグフードを拾ったが、落とした本人のオレは一虎くんの発言に目をひん剥いたまま動けない。一虎くんが女関係の悩み？え、いつのまに。
男のオレから見ても整った顔をしている一虎くん。2人で飲みにでも行けば、隣に座っている女グループに適当に声をかけナンパもするし、しばらく年少に入ってたとは言え出所してからそれなりに彼だって女関係くらいあったはずなのに。え、今更？今更女との絡み方？
「…ナンパも余裕でするような人が何言ってんの」
「いや、違う…。そういうんじゃなくて、なんか初めてなんだよ。興味が出た女っていうか。ちゃんと知りてぇなって思った女」
「……え、何？一虎くん好きなやつでもできたの？」
「好き…っていうかそう言うのわかんねぇ。本気の恋愛？そういうのしたことねぇし。そいつのこと好きなのか、ただ今まで会ったことのないタイプだから興味があるだけなのかも、わかんねぇ」
「なあ、千冬…。好きなやつ出来るとどう言う感情になんの？お前ならわかんだろ」そう聞いてきた一虎くんにオレは何も返せなかった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
