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全く私と話す気がないのか、中々乗り気になってくれないチャラ兄さん。そんな私たちに気を遣ってか、サキさんと丸山さんが私たちを会話に入れつつ話を盛り上げてくれた。チャラ兄さんとは中々話せなかったがなんとか丸山さんには気に入ってもらえ、「入店祝いにシャンパン入れてあげる」と言ってくれた丸山さんはもう諭吉にしか見えなかった。どこに隠し持っていたのか、サキさんがサッとメニュー表を丸山さんに差し出すと、丸山さんはシャンパンのページを開いてチャラ兄さんに渡した。
「Aちゃんの入店祝いだぞ。お前が決めろよ」
「いや、自分はいいっすよ」
「Aちゃんは今お前の席についてるんだから、お前が決めろよ。まあ、入店祝いって言ったらこの辺かな…。お前、これかこれどっちがいいと思う？」
「！！！」
「ほら、早く決めろ」
どっちにする？とチャラ兄さんに聞く丸山さん、そんな丸山さんに「両方いれちゃえばいいじゃん」としっかり売り上げを立てようとするサキさん。そんな彼女に「どっちもはダメだよ」なんて丸山さんは笑っていたけど、ふとチャラ兄さんの方に視線を向ければ、メニュー表を持つ手は大きく震え、そして目は驚くくらいに見開かれて完全に様子がおかしかった。
「チャラ兄さん…？」
「…っちか…どっちか……」
「あ、あの…大丈夫ですか？」
「…どっちもは、ダメ……」
ぶつぶつと呟くチャラ兄さんに、丸山さんとサキさんも、どうしたどうしたと顔を見合わせた。完全に様子がおかしく我を失っているチャラ兄さんに私は、飲んでいたお酒のグラスをピタッと彼のほっぺにくっつけた。
「っ！！！」
「お手洗い、空きましたよ。いきましょう」
「え、」
「我慢できないってさっきからブツブツ言ってたじゃないですかー！」
とりあえずサキさんと丸山さんの雰囲気を壊さないようにそう言いながら彼の手を思いっきり引けば、私の意図を理解したのかチャラ兄さんはコクリと頷き立ち上がった。サキさんと丸山さんは「なんだ、トイレかよ」と笑ってくれて、そっと胸を撫で下ろした。
チャラ兄さんが入っているお手洗い前でしばらく待っているとようやくその扉が開かれた。
ガチャ
「あ、おしぼり、どうぞ」
「あ、ああ…ありがとう」
「…少し落ち着きましたか？」
「…悪い…ちょっと嫌なこと思い出して」
「そうだったんですね。でも落ち着いたならよかったです」
相変わらず顔色は悪いけれど震えは止まったようだった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
