013-3 ページ32
「最高すぎるーー」
「…主にこんなことやらせるなんて、どんだけ態度でかい犬なんだお前は」
「ワンちゃんは自分で毛乾かさないもーん」
「すっかり犬気分だな」
「もちろんだよ！私は千冬くんのペットだもん」
ペケはオレと向かい合うように座り、オレの膝上に頭を乗せながらくつろいでいた。「普通こういうのは後ろ向きになるもんだろ、乾かしにくい！」そう言けば、ペケは「嫌だ！千冬くんの顔見てたい」とオレのふくらはぎ部分にしがみつきながら動こうとしなかった。何度かそのやりとりをした後に、彼女を引き剥がすのも段々と面倒くさくなったオレは、諦めてそのままの体制でペケの頭部から毛先にかけて風を順番に当てていった。
「千冬くん手慣れてるね。もしかして過去の元カノさんたちにもやってたりしてた？」
「ペケみたいな図々しいやつは初めてだよ。どちらかと言うと乾かすよって言ってくれるような女ばっかりだったな」
「へぇー千冬くんって意外に甘えるタイプなんだね」
「…オレが女に甘えるタイプに見える？」
「んーー見た目だけだったら見えるかな。犬系男子の代表だよ千冬くんのルックスは」
「なにそれ。犬系男子って」
「可愛い見た目ってこと」
可愛い？オレが？
今まで女に「可愛い」と言われたことはなかったため、少し不快に思う。男は誰だって「かっこいい」と言われたいものだ。
「わかるよ、男の人は可愛いって言われるの嫌いだよね」
「当たり前だろ。お前だってかっこいいって言われるより可愛いって言われた方がいいだろ？」
「まあ、そうなんだけど…女の子が言う男の子に対しての可愛いってカッコいいを上回る褒め言葉なんだよ」
「褒められてる気しねーけどな」
「まあ千冬くんの場合は、可愛くもありめちゃくちゃカッコよくもあるんだけど」
よくもまあそんな恥ずかしいことを、視線を一切逸らさずに言えるもんだと思った。オレなんか過去付き合った彼女たちに、「好きだ」とか「可愛い」だとかそう言ったことを伝える時は、照れ臭くて目を見て真っ直ぐになんか到底言えなかった。けどこいつはオレの顔を見ては「かっこいい」と言うし、たまに彼女にとっての最高級の褒め言葉だと言う「可愛い」なんて発言もするし、しまいには「好き好き」と言ってくる。あまりにも軽々しく言うもんだから一々本気で受け取ったりはしないが、飼い主と飼い犬の関係が無かったら勘違いしてしまったかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
