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リビングには、何がそんなに楽しいのか終始ニコニコ嬉しそうに最近話題のアーティストの明るい曲調の歌を口ずさみながら、大量に購入した洋服や小物などのタグを取り整理しているペケの姿があった。その様子はとてもご機嫌そうだ。そんな後ろ姿を、洗濯物を畳みながらそっと盗み見る。
あの後、しばらくして戻ってきたペケは「帰ろう、千冬くん」そう言ってオレに手を差し伸ばしてきた。ペケが与えてくれた、気持ちを落ち着かせるための時間のおかげで、頬を伝う涙は止まっていた。ペケに涙を見られてしまったことが気まずくなり、それを誤魔化すため「なんでオレが飼い犬に手を差し伸ばされなきゃいけねーんだ。普通は逆だろ」と差し出された手を軽く叩く。「それもそうだね」とペットはクスクス笑いながら「じゃあ千冬くんが私の手を取って」なんて言った。別に手を繋いで歩くなんてルールなんて無いのだから繋がなくてもよかったけど、まぁ…なんかその…ペケにしては、色々言ってくれた方だと思うし…主人に気遣いなんてできるのは犬としてはすごいことだし…飼い主としてこういう時には褒めてやらないといけないよな。ご褒美としてなら繋いでやってもいいか、リードだと思えばいいか…等、謎の大量な言い訳を浮かべ、自分に言い聞かせながら「ペケ、お手」と手を差し出すと、オレの意図がわかったのか「わん！」と嬉しそうに吠えたペケはオレの手の上に手を重ねた。同じタイミングでお互いがお互いの手をぎゅっと握り合ったことを確認してからオレも席を立ち店を出る。
長かった初めての散歩は終了した。
「なー、ペケ」
「なーに？」
「それいつになったら乾かすんだよ」
「うーん…これ終わってからかな？」
家に帰り、風呂に入ってからタオルを髪の毛に巻いた状態で過ごしていたペケは、風呂上がりから随分と時間が経っているというのに未だにその状態だった。ここ数日しか見ていないけれど、ペケはどうやら"ドライヤー"が嫌いらしい。
「嫌いっていうか…面倒臭いっていうか」
「面倒臭いって言ったって最終的にはやるんだから、早く終わらせろよ」
「そうなんだけど、私髪の毛長いし乾かしてる間何も出来なくて退屈なんだもん。やる気が起きなーい」
やりたくなーい！と足をバタバタさせながらそんなことを言う姿にため息をつく。大人びた顔をしたり、こうやって駄々を捏ねたりペケは見れば見るほど色んな顔を持つ女だった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
