012-3 ページ29
ペケが言った、シェイクスピアの言葉はきっとオレに当てはまる。
『ほどほどに愛しなさい。長続きをする恋はそういう恋だよ』
何事もやりすぎは良くないことくらいわかってる。全身全霊のありったけの愛の気持ちは相手を疲れさせる。そんなこと4度も失敗すれば、痛いほど身にしみて理解できる。
だけど恋愛は気持ちだ。
100の愛を、50の愛にすることは出来ない。
100の愛を、50に押し殺すなんて気持ちの操作をオレは出来ない。
そんなこと出来るやつがいるんだったら連れてきて教えて欲しい。
そしてその恋愛は、長続きしたとしても本当に双方が幸せだと言えるものだったのか教えてほしい。
オレが読んだ
それが現実だと間違ってるっていうのかよ。
誰かに教えて欲しかった。
何がほどほどにだ。ほどほどの愛ってなんだよ。
その言葉の真意というやつは、恋愛力0のオレにはわからないけど、今までの恋愛の全てを全部同じ理由で失敗してしまったオレはきっと、今度からシェイクスピアを教科書代わりに読むべきなんだと思う。
そう思ったのに、ペケはオレの失敗した恋愛を肯定し、そういう人に好かれたいと言った。
ほどほどに愛するということを知らず、全力で愛し失敗したオレの恋愛を、まるで間違いていないというように、自分は全力で愛してくれる人の方がいいと言った。
他のやつからしたら大した言葉じゃないかもしれない。けれどオレにとっては、その言葉はずっと心に引っかかり取れずにいたモヤを驚くほど綺麗に取り除いてくれ、そしてそれが消えた代わりに涙として流れた。
「千冬くん、お金借りていい？私足りない分お買い物一人でしてくるから、千冬くんはここで待ってて」
オレが泣いたからだろうか。
ペットのくせに気を回したのだろうか。
1人にする時間をくれたのだろうか。
彼女はオレが黙って差し出した札を受け取ると、「ありがとう」とにっこり笑って席を立った。
所詮はペットだ。だから恋愛感情なんかじゃない。
だけど、こういう女を好きになれたらと思わずにはいられなかった。
こういう女だったら、オレがオレでいられるんじゃないかと思った。
ありえない出会い方をした、まだ付き合いも浅い飼い犬が、とてつもなくいい女に見えてしまった瞬間だった。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
