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ガシャン！というスプーンと皿のぶつかる甲高い音が耳に響く。え？今、借用書って言った？
「…は、」
「ちょっと前に、彼が新しく仕事を始めてそれを応援したくてサインしちゃったんだよね。だから、私が悪いんだけど」
「ちょ、ちょっと待てよ。それじゃ、その男はお前に借金押し付けて夜逃げしたってことかよ！？」
「うん。早い話はそうだね」
「…それって、ちなみにいくら、？」
「うーん、千冬くん引かないでね？」
「ごめん、この時点で引いてる」
「え！嘘！」
「いや、こんな話聞いて普通にしてられるやつなんかいねーだろ！」
「えーじゃあ言いたくないよ、千冬くんびっくりしちゃうかもしれないし」
「いい、オレは大丈夫だから。いくらだったんだ」
そう聞けばペケは気まずそうに人差し指を一本立てた。
「…え、ひゃくまん？」
「ううん。0が一個足りない」
「……1千万……？」
「お見事」
「は！？1千万！？！？」
驚きすぎて店内にオレの声は響き渡った。ペケは慌てて「しー！静かに！」と口に指を当てたが、正直空いた口が塞がらない。付き合ってる女に1千万の借金残して消えた？そんなバカな話が現実にあるのか？自分の借金を恋人に押し付けて、しかも留守中に夜逃げ！？ペケの口から話される事実の1つ1つが衝撃的すぎて、軽く鈍器で頭を殴られたかのような気分だった。自分のことではないのにそのクズ男を想像すると拳が震えた。
「すぐに借金取りみたいな人が家に来た。保証人なんだからとにかく払えって。すごい怖い人たちでさ、渡しちゃったんだよね通帳」
「渡したってそんな大金…！」
「お金は貯めてたからさ、なんとか払えた。けど今度はその人たちが、全てを失った私に仕事を紹介するって言い始めて」
「…それって、」
「うん。風俗」
淡々と喋るペケになんて声をかけたらいいかわからなかった。まさか家なき子の理由がそんなんだとは思わなかったし、笑顔の下にそんなことがあったのかと心が痛む。
「でも結局逃げたよ！お金は払ったしその人たちに世話になることは何もないし！明日お店に伺いますねっていうだけ言って逃げた」
「…あぶねー橋渡りすぎなんだよお前」
「それからは前話した通り。満喫で過ごして鞄盗まれて、自暴自棄になってあのコンビニの駐車場でポケットの小銭かき集めてお酒飲んで、そしたら千冬くんが助けてくれた」
そこで彼女は丁度食事を食べ終えたようで、ごちそうさまでしたと手を合わせた。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
