007-3 ページ16
「……ペケ」
「へ？」
「だから、お前の名前ペケにすることにした」
その場で適当に思いついた呼びやすそうな名前を彼女に言えば、彼女は「可愛い名前！由来は！？」と満面の笑みで言った。出会ってまだ1日経ったか経たないかくらいだから彼女のことは何も知らないけれど、例えばオレが超絶変な名前を命名したとしても、きっとこの女は喜ぶんだろうな。なんて自惚れた発想が頭の中をよぎる。それくらい彼女はオレの前で常にニコニコ嬉しそうな顔をしていた。
「由来なんかない。適当」
「えー由来なしか！まぁでも可愛いしいっか！千冬くんがつけてくれたんだし！」
「そうだぞ、オレが直々につけてやったんだから、それだけでもありがたいと思えよな」
「ちゃんと思ってるよ！私は今日から千冬くんのペットのペケ！えへへ、嬉しい」
「…何がそんなに嬉しいのかわかんねー。お前本当の名前をある意味捨ててるんだぞ」
「千冬くんのペットになれたんだもん、名前ぐらい捨てられるよ」
「お前本当に人権捨てたな」
「だって、人権なんてあったって意味ないでしょ。人権を保ちつつもホームレスするか、人権を捨てて犬系イケメン男子に飼われるか。その2つの選択肢を出されたら誰だって後者を選択するよ」
「安心しろ。そんなぶっ飛んだ選択をしなきゃいけないような状況になるのは、この世界探してもお前だけだ」
そういえば、ペケは「そのぶっ飛んだ選択をした私みたいな女に付き合ってくれるのも、この世界で千冬くんしかいないよ」なんて頬を緩ませながら言ってくる。そんなことは一番自分がよくわかってる。
オレにペットになると宣言したこいつも、こいつの宣言を承諾し、奇妙な生活の幕を開けようとしているオレも、お互いとにかくぶっ飛んでる。
けれど…
「千冬くん、美味しかった！ご馳走様でした」
米粒1つおろか、カレーのルーすら残らない綺麗に空になった皿を見て、自分の用意したエサを美味そうに食べてくれた彼女に自然とオレの口角は上がっていた。
「…残さず食ったか。偉いぞペケ」
「わーい！千冬くんに褒められた！」
「躾には、飴と鞭が必要だろ。今回は褒めてやる」
「わ！嘘！頭なでなではやばい！！」
「そのかわり、いい子に出来なかった時は容赦なく鞭も与えるから覚えとけよ」
オレのその脅しにも近い台詞を聞いたペケは背中を小さく丸めていて何だか笑える。ぶっ飛んだことするのもたまには悪くないなと思った。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
