007-2 ページ15
「え！？千冬くん天才！？」
「は？ただのカレーだろ」
「ただのカレーじゃない！イケメンが私のためだけに作るスペシャルラブカレーだよ」
適当に切った具材を火を通した後に水が入った鍋にぶち込んでやった。そこに市販のルーをぶっ込んで少しの時間煮込んだだけ。たったそれだけなのに、目の前にいるこの女は大袈裟に喜んだ。
「勘違いすんな。お前の飯のためだけじゃねーし、この中にラブを入れた覚えもない」
「いいの！私がラブを感じ取ったんだからラブカレーってことで」
「馬鹿なこと言ってたらお前の今夜のエサはないぞ」
「わー！それはダメ！一日何も食べてなくて本当はお腹ぺこぺこだったんだよー」
「だったら無駄口叩いてないで、これと飲み物持って大人しく待っとけ」そう言いながらスプーン2本を彼女に差し出し冷蔵庫を顎で差した。承諾の意を込めただろう元気な「わん！」という返事をして彼女はオレから受け取ったスプーンと冷蔵庫の中からペットボトルを一本机に運んだ後、食器棚からグラスを二つ手に持った。どうやら今日から飼い始めたこの犬は、ある程度の躾はされているようだった。
「えへへ！でも朝はあれだけ私のこと"あたおか"(頭おかしいの略)扱いだったのになんだかんだ千冬くんもノリノリだね」
「なんなら今すぐ追い出してやってもいいけど」
「あーごめんなさい！もう言わないからそんな意地悪しないで！」
耳を垂らしてしゅんとした顔でそういうこいつに、「お前がうだうだ言ってる間にできたぞ。ほら、お座りだ」そう言えば、彼女はきちんと正座をしてお座りをした。それから手を合わせて「いただきます」なんて言うもんだから、思ったよりも利口な犬でよかったと安堵する。
「そういえば、私の名前はどうなった？」
「あ、そうだ。忘れてた」
「ひどいー！ペットを飼うときはまず名前をつけるところから始めるんだよ？可愛い名前がいいなー！」
美味しい美味しいと言いオレが作ったカレーを口の中に運びながらの会話だった。相当腹を減らしていたのか、彼女は食べるペースが早かった。男のオレよりも早いスピードで皿に入ったカレーの面積はどんどん小さくなっていく。
飲み物も食べ物も勝手にしていいと言って家を出たのに、電気もつけず、飲み物も食べ物も手につけた痕跡もなく、見た目や言動に反して彼女は真面目で律儀な性格をしていた。そして、初めて会ったばかりのオレに一瞬にして懐き従順。
…名前ぐらい早くつけてやるか。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
