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ホットミルクを差し出した時に見えた、嬉しそうにぶんぶん振られた尻尾が今度はしゅんと垂れたように見えた。自分が動物好きなことを恨む。相手は人間なのにこんな瞳で見られると、中々飼い主が見つからない今も店でひとりぼっちで過ごす動物達の顔と重なってしまい、押し黙ってしまった。
「お前な、そんな捨て犬みたいな顔してオレを見たってダメなもんはダメだからな」
「なんで！？じゃあお兄さんは、雨の中弱ってる捨て犬がいたら見捨てるの！？」
「犬だったら見捨てない」
「人間は！？」
「人間は自分でどうにか出来んだろ！人に頼るな！」
「一緒じゃん。家がなくて弱ってる犬も、家がなくて弱ってる私も！家なき子なのは一緒じゃん！」
「あのな、あのドラマに出てくる主人公の女の子もあんな小さいのに1人で大人に頼らず生きて行ったんだ。あの子ができたんだから、お前も出来るはずだ。頑張れ。よし行くぞ！」
「ちょ、ちょっと待ってよ！何その遠回しの拒否の仕方…！」
立ち上がって今度こそ追い出そうと玄関に向かおうとしたオレの手を彼女は慌てて引っ張った。膝をつきながら精一杯腕を伸ばしてオレの手を取る。
あー出勤時間まで時間がない。遅刻なんかしたら一虎くんになんて言われるかわからないってのに。
「あ！じゃあお兄さん！こういうのはどう！？」
「なんだよ！オレはなんて言われたってお前を、」
「私ペットになる！！」
「は？」
「だーかーらー！私お兄さんのペットになるよ！！」
この女に対して頭がいかれてるって思ったのはこれで2回目だ。何言ってんだ…こいつ
「お家に置かせてもらってる間、全部全部お兄さんの言う通りにする！いい子にする！何の文句も言わない！お兄さんに従順なわんちゃんになる！」
「…は？」
「犬だったらいいんでしょ！？人間じゃなくて！」
「お前……人間辞めるの？」
「うん！辞める！」
「…まじ頭いかれてる」
「いかれててもいい！…一回こうして人の優しさに触れちゃったら…もう孤独には戻りたくない。絶対戻りたくないよ」
さっきまで明るく元気だった彼女の顔に一つの影が落ちた。そしてやっぱり思い出すのは、可愛いと持て囃されて抱かれた後、当たり前のようにバイバイと言われて毎日置いていかれるあの動物たちの姿。
それを思い出したら思わず口から出てしまっていた。
「……本当にペットでいいんだな？」
彼女の提案に賛同するような言葉を。
オレの頭が一番イカれていた。
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knnk99(プロフ) - つのさんさん» ご指摘ありがとうございます(；´Д｀) 間抜けなミスしてしまいました…。嬉しすぎるお言葉もいただき感謝です。これからもお付き合いいただけましたら幸いです(*ﾟ∀ﾟ*) (2021年8月20日 3時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
つのさん - 9-2千冬が千春になってますよ?この作品好きです！更新楽しみにしてます。 (2021年8月20日 2時) (レス) id: ef4da38789 (このIDを非表示/違反報告)
knnk99(プロフ) - よるさんさん» コメありがとうございます！いい感じに飴と鞭、千冬くんに使い分けていただいて調教してもらいたいですよね…。楽しんでいただけるように頑張ります。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月19日 21時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
よるさん - 飴と鞭......最高っす (2021年8月19日 16時) (レス) id: 532ad83de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月17日 22時
