五十四話 ページ7
Aside
母さんは、私を愛していたのか。
そんな答えがほしかった。愛してほしかった。愛されたかった。
江「愛されていたよ。」
多「…は………？」
分かりきったことのように告げられた。
この人たちは意地でも止める気らしい。だから、説得をしてくる。
なんの意味があって、そんなことをしてくるのか全くもって理解に苦しむ。
江「Aは愛されていた。
これを見てよ。君名義の通帳。
毎月必ず、いくらか振り込まれている。これ、君がこの家にいれていたバイト代と同じだよね？
毎月、必ず、欠かさずに。
君のお母さんは悩んでいた。君を前にすると個性が出るから。
どうすればいいのかずっと。
君がいないときなら別だった。
自分が恨まれているのは知っている。だから、君が生きられるように貯めていたんだ。
いざとなれば自分達はどうにでもなると思ってね。
君がいれば必要以上に兄の方に投資してしまうからなるべく会話を避けていた。」
何百万と入ったお金。
確かに私名義だった。
愛されていた？
ずっと？私が理解できなかっただけで？母さんは、あの人は、ずっと私を見てくれていたの？
熱いものが頬を伝う。
伝えたいことがたくさんあった。
それはもう、届けたい人には二度と届かない。母さんは死んだ。
愛してほしかった。
愛されたかった。
そう思っていて、その答えがずっとほしくて、ようやく手に入ったのに。
これでやっと普通の、ごく普通の家族になれると思ったのに。
もう、母さんはいない。
敦「…Aちゃん。
ごめんね。気付いてあげられなくて……。お母さんは君のことを心から思っていたんだよ。
君がするべきことは此じゃないよ。」
多「……母さん。
母さん。
ごめん…なさ……」
ごめんなさい。
気付けなくて。愛されていたのに。もっと早くから話せばよかった。
ちゃんと向き合えばよかった。
母さんの個性を理解すればよかった。
取り返しの着かないことになった。母さんはもうこの世にはいない。
呼ばれたかった名を、呼ばれることも無い。
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夢女子S氏(プロフ) - ちょっと、目から塩水が止まんないじゃないですか……神作品をあ"り"か"と"う"こ"さ"い"ま"す"っ"！！ (2021年6月27日 16時) (
レス) id: 355241a2ce (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - あれ……目から水が……更新待ってます！ (2020年3月2日 11時) (レス) id: efb845659a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年1月1日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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