六十話 ページ13
NO SIDE
Aへ。
もしも死んだときの為にと、インゲニウムに託しておいた。
Aは俺を恨んでいるだろうな。
母さんたちを捨てたんだから。
俺たちは確かに、愛し合って結婚した。
でも、次第に上手くいかなくなったんだ。結婚をして互いの嫌な部分を見てしまった。
兄さんを母さんはよく可愛がっていたよな。
お前は個性を持たなかった。異能を持っていた。だから母さんもどうすればいいのか分からず、個性が出てしまっていた。
今なら、よく分かるよ。
Aが生まれてきたとき、とても嬉しかったよ。
かわいくて、かわいくて堪らなかった。
兄さんの時とはまた違っていた。
特別で稀有な力を持ってると知ったとき、正直どうすればいいのか分からなかった。君から逃げ出してしまった。
その頃から、母さんとも限界だったんだ。
余裕がなかった。
決定打だったのはAが怪我をして大きな火傷が出来たとき。
そのときは偶々個性が暴発していたんだろう。そうであっても怪我を見なかったことに母さんはした。
それからだった。
もう、互いに限界だった。
たまに子供に逢いたいからと言って逢いに行くとAはいつも一人だった。
兄さんのお下がりを着て。
かわいい服を着せてやりたいと思った。でも、親権は彼方だったから彼方に決定権はあってね。
結局、Aには親らしいことは何も残せていなかった。
だから、A。
どうか幸せに。
何も残せてやれないことは分かっている。酷い父親だ。
それでも、Aの幸せを願っているよ。
愛しているよ。
伝えられていたらインゲニウムに処分させるように言おう。
ヒーローになるんだってね。
君は私の誇りだよ。
同封している鍵は、俺の部屋にある一番引き出しの鍵だ。
何もできない父親からのささやかな十年分のプレゼントだと思ってくれ。
私は狙われているからね。もうじき死ぬだろう。
開けてみてからのお楽しみだ。
いつかヒーローになってAが活躍するところを見れないのが残念だよ、とても。
Aなら、きっといいヒーローになる。
もう一度、言うよ。愛しているよ。
父より。
読み終わり、少女は走った。
同級生で休日、約束をつけて会いに行った少年もついていった。
目的地につき、手紙に書かれた通り開ける。
そこにはヒーロースーツが入っていた。
彼女の異能に丁度よく作られていて、カッコいいデザインだ。
彼女は泣いた。
同級生の少年はそっと背を擦った。
終わり
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夢女子S氏(プロフ) - ちょっと、目から塩水が止まんないじゃないですか……神作品をあ"り"か"と"う"こ"さ"い"ま"す"っ"！！ (2021年6月27日 16時) (
レス) id: 355241a2ce (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - あれ……目から水が……更新待ってます！ (2020年3月2日 11時) (レス) id: efb845659a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年1月1日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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